2017 Fiscal Year Research-status Report
プロテアソーム阻害薬に対する感受性を抑制する新しい分子機構の解明
Project/Area Number |
17K09918
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高橋 雅彦 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80377192)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | HTLV-1 / ATL / USP10 |
Outline of Annual Research Achievements |
成人T細胞白血病(ATL)はヒトT細胞白血病ウイルス1型 (HTLV-1)の感染に起因する。ATLには有効な治療薬が開発されておらず、予後の改善に貢献できる治療薬の開発は急務である。亜ヒ酸(Arsenic trioxide)およびプロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ(Bortezomib)はATL細胞に細胞死を誘導できることから、将来的な治療薬候補としてATLに対する臨床治験が開始されている。本研究は、亜ヒ酸およびボルテゾミブによって誘導される細胞死に関与する蛋白を同定し、その分子機構を明らかにすることを目的とした。 我々は、HTLV-1の癌蛋白Taxに結合する宿主因子としてUbiquitin-specific protease 10 (USP10)を同定し、USP10が亜ヒ酸またはボルテゾミブ処理下において細胞死を抑制する抗ストレス因子であることを見出した。ATL細胞におけるUSP10の発現をRNA干渉法により減少させると、亜ヒ酸またはボルテゾミブによって誘導される細胞死が促進した。付着系のがん細胞株HeLaを用いても同様の現象を再現できることから、USP10はがん細胞において普遍的に作用する抗ストレス因子である可能性が示された。現在はUSP10がどのようにして細胞死を阻害するのか、その分子機構を解析中である。さらにHTLV-1感染細胞株SLB-1に亜ヒ酸およびボルテゾミブを併用処理すると、それぞれ単独処理して誘導される細胞死よりも強く細胞死が引き起こされた。この結果は、亜ヒ酸とボルテゾミブの併用処理は相乗効果を引き起こし、単独処理よりも強く細胞死を誘導できることを示している。このような両薬剤による相乗効果に関与する蛋白の同定も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
USP10による抗ストレス作用に関わる候補蛋白を同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
USP10による抗ストレス作用とリンクする細胞内シグナル経路を明らかにする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額4,332円は当該年度(2018年3月)に納品された消耗品分の金額であり、その支払いが2018年4月になったために生じたものである。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] MAGI-1 expression is decreased in several types of human T-cell leukemia cell lines, including adult T-cell leukemia.2018
Author(s)
Kozakai T, Takahashi M, Higuchi M, Hara T, Saito K, Tanaka Y, Masuko M, Takizawa J, Sone H, Fujii M.
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Journal Title
International journal of hematology
Volume: 107
Pages: 337-344
DOI
Peer Reviewed
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