2018 Fiscal Year Research-status Report
mTOR複合体2による白血病の治療耐性制御機構の解明
Project/Area Number |
17K09919
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
上野 将也 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (20334766)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
白血病の根治を目指した治療法の開発には、白血病幹細胞の特性を知り、その制御を司る重要な分子を特定することが必要である。研究代表者らは、これまで白血病幹細胞の代謝調節に着目し研究を進め、mTOR複合体2が白血病幹細胞の治療抵抗性に重要な役割を果たすことを見いだした。さらに、mTOR複合体2の下流分子群を対象に、ゲノム編集法とバーコード法を組み合わせた新規のCRISPRカスタムライブラリーを用いた機能スクリーニング法を開発した。本課題では、mTOR複合体2の治療耐性機構を理解する目的で、①mTOR複合体2の下流分子の機能的スクリーニングを実施し、②得られた候補分子の機能解析を行うことにより、白血病幹細胞の治療耐性に関わる分子や代謝経路の全容を明らかにすることを目標とする。 本年度は主に以下の研究項目を実施した。 (1) mTOR複合体2に制御される代謝経路の抗がん剤治療耐性における機能解析:CRISPRカスタムライブラリーを用いた機能スクリーニングにより、mTOR複合体2の下流分子から治療抵抗性に関与する候補分子として、ビタミン代謝に関わる酵素を同定した。この代謝酵素を欠損する白血病細胞株や固形がん細胞株を作成し、免疫不全マウスに移植することで、本酵素の生体内での機能を解析した。 (2) 上述の代謝酵素に対する阻害剤スクリーニング系を確立した。およそ3万種類の化合物ライブラリーをスクリーニングし、阻害剤候補を選別した。 (3) 上述の代謝酵素遺伝子欠損マウスをCRISPR/Cas9法で作出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はmTOR複合体2の下流分子から治療抵抗性に関与する代謝分子を同定し、in vivoでの分子機能を解析できた。この解析から、本代謝酵素が白血病の治療抵抗性に寄与していることが強く示唆された。さらに、化合物スクリーニングにより、およそ3万の化合物から複数の阻害剤を同定できた。この中の少なくとも一つは、マウスに投与した場合においても、本酵素に対する阻害活性があった。さらに、作出した本酵素遺伝子欠損マウスの血液中ではその酵素代謝産物が全く検出されなかった。したがって、本酵素の活性を消失したマウスを作出できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
同定した酵素阻害剤の単独投与時、あるいは他の抗がん剤との併用時の抗腫瘍効果を評価する。また本代謝分子の欠損マウスを用いて、正常組織のみならず、発がんモデルと組み合わせることで、本分子の生体内での機能解析を実施する。
|
Research Products
(4 results)