2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K09925
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菱澤 方勝 京都大学, 医学研究科, 助教 (90444455)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 成人T細胞白血病 / 制御性T細胞 / 血液内科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
制御性T 細胞 (Regulatory T cell: Treg)のmaster regulator であるforkhead box P3 (FOXP3)は、成人T 細胞白血病 (adult T-cell leukemia: ATL)の大半で発現するが、その発現する機序は未解明である。本研究は、FOXP3 遺伝子のTreg 特異的な脱メチル化領域のDNA メチル化とATL におけるFOXP3 の発現機序やTreg との関連について解明を目的とする。 ATL(急性型、リンパ腫型、慢性くすぶり型)と無症候性キャリアで、flowcytometryによる表面抗原解析、並びに検体の収集をおこなった。HAS-Flowと呼ばれるTSLC-1の発現に基づく表面抗原の解析により、CD3+CD4+TSLC-1+CD7-の細胞の多くがHTLV-1感染細胞であり、かつFOXP3やCCR4などのTregに一致する表現型を有することを確認した。この細胞を分離して、DNAメチル化の解析、サイトカイン産生能の解析をおこない、データベースを用いて臨床的意義について検討を今後すすめる。 一方、腫瘍の免疫逃避機構としてPD-1が知られているが、ATLではこの阻害が進行を速めたとする報告もあり、ATLにおける治療標的候補を見出すことを目的として、他の免疫抑制機序についての検討をおこなった。細胞株でのスクリーニングの結果、ATLでは表面抗原であるCD58が低下しており、T細胞との共培養でIFN-γ産生はCD58発現ベクターを導入することで回復し、CD58が免疫抑制に関与していることが示唆された。ATLにおいては、CD58の遺伝子変異が報告されており、この異常が免疫不全に与える影響について更なる解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究の主たる部分をおこなっていた技官が疾患で長期休養し、復職後も実験をおこなうことが出来ない状態となった。新たに研究を実施する人員の確保とトレーニングに時間を要し、研究の遂行が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
ATLにおけるFOXP3発現のepigeneticな機序についての解析を進める。一方、他の免疫逃避機構に関係する分子の候補としてCD58に着目し、ATL細胞における免疫抑制への関与について検討をおこなう。
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Causes of Carryover |
研究の主たる部分をおこなっていたものが疾患で長期休養し,新たな研究体制の構築に時間を要し、実験が一時中断したため。
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