2017 Fiscal Year Research-status Report
ハイスループットシングルセル RNAシーケンスによる残存病変の解析
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17K09926
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 正宏 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (10431850)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シングルセル解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
単一細胞での遺伝子変異と遺伝子発現解析の同時測定を行う解析系の構築を行った。当初計画していた実験系で基礎検討を行ったところ、遺伝子変異領域の増幅効率が極めて悪く、実験系の再検討を行った。マイクロビーズを用いた系、マイクロウェルを用いた系、およびマイクロ流体を用いた系を比較検討し、より柔軟な仕様変更に対応しているマイクロ流体の系を用いることとした。遺伝子発現は当初の計画通り、データ量とコストを低減し、解析細胞数を増加させるためにメッセンジャーRNAの3’端を解析した。遺伝子変異は変異の近傍にプライマーを設計し、メッセンジャーRNAと同じ細胞バーコードを付加したプライマーを設計して加えることにより増幅を行った。プライマーの濃度や変異からの距離、PCR産物の長さなどの最適化を行い、最終的に変異部分の増幅に成功した。 この実験系を用いて、造血器腫瘍で高頻度に認められるドライバー変異を有する細胞株と有しない細胞株との解析を行ったところ、高感度にドライバー変異を同定することが可能であった。同時に、遺伝子発現プロファイルの同定も可能であった。 また、造血器腫瘍の進展に重要な役割を果たすゲノムのコピー数異常の解析系の構築も進めている。個々の遺伝子発現は細胞の種類や置かれた状況によって様々な変化をするが、まとまった数の遺伝子発現変化を解析することによって、染色体毎のコピー数の増減を推定することが可能であった。 現在、これらの実験系および解析系のさらなる性能向上のための最適化を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎検討の結果、当初の計画の手法では変異領域の効率的な増幅及び変異の同定が困難であることが判明した。しかし複数の代替案を精力的に検討した結果、別の実験系を用いることにより、細胞株で遺伝子変異を高感度に同定することに成功した。この手法では遺伝子発現も同時に測定可能であり、この遺伝子発現パターンから、染色体のコピー数異常の解析も行うことが可能であった。細胞株での検討が当該年度の進捗の目的であり、進捗状況は順調である。 患者検体での解析の最適化も同時に行っている。凍結保存検体も解析可能であった。解析に使用する細胞の大きさによって、シングセルの回収効率に大きな差があり、解析細胞の濃度等の最適化を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞株を解析可能な実験系の構築に成功したが、患者検体の基礎検討では、発現の低い遺伝子の特にヘテロ変異同定に問題があることが明らかとなった。このような変異の同定感度を向上させるため、様々な実験条件の最適化を行っていく。 発現の高い遺伝子のホモ変異あるいはヘミ変異に関しては十分な感度が得られているため、そのような変異を有する症例から先に解析を開始し、実験系の最適化と平行していく。
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Research Products
(2 results)