2018 Fiscal Year Research-status Report
ATLにおける慢性活性化T細胞受容体経路を標的とした創薬基盤の構築
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17K09932
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
吉満 誠 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (70404530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 博満 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (20392079)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 成人T細胞白血病リンパ腫 / CARD11 |
Outline of Annual Research Achievements |
成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)細胞の遺伝子異常と臨床症状・治療経過のデータベース化を行った。検出された変異は既報とほぼ同程度のプロファイルを認めていたが、これまで報告されていないRLTPRの反復性遺伝子変異を検出した。この変異は皮膚T細胞リンパ腫で報告されている。さらに同変異が機能獲得型変異であることをin vitroで確認した。またRLTPRがHTLV-1由来蛋白であるTaxと直接相互作用があることを確認できた。これまでにも複数の蛋白がTaxとのinteractomeとして同定されている。特にATLにおいて認める変異を有する蛋白に蓄積していることが明らかとなっている。今回同定されたRLTPRも新規Tax-interactomeである可能性があり解析を進めている。臨床像についても検討したが、皮膚指向性は明らかではなかった。今後皮膚型ATLについて追加解析を行う予定である。CARD11機能獲得型変異を有するマウスを作出し、マウス表現形質、リンパ腫発症の有無について評価した。最長2年間の観察期間が得られている。脾臓由来細胞を用いたフローサイトメトリーでの検討では、機能獲得型CARD11変異を有するマウスにおいて活性化T細胞分画の増加を認めた。ごく少数のマウスでリンパ腫を発症した。リンパ腫発症マウスについては病理学的な検討を行ったが、T細胞リンパ腫の発症には至っていない。本研究の主目的であるCARD11のSH3/GUKドメインの会合阻害剤の探索については、これまでのスクリーニング(NFkBリポーターアッセイやFLUOPPI系)ではSH3/GUKドメインの会合を阻害できる物質を同定できていない。SH3ドメインとGUKドメインのシス・トランス結合について、その結合力や結合様式について不明であることから、SH3/GUKドメインを含めたCARD11の蛋白構造解析を創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム(BINDS)構造解析領域の支援のもと進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CARD11のSH3ドメインとGUKドメインのシス・トランス結合について競合試験でも結合阻害を行うことができなかったため、SH3/GUKドメインの構造解析に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
CARD11機能獲得型変異を有するマウスの解析は引き続き進めていく。CARD11阻害剤の開発については構造解析結果を元に進めていく。T細胞受容体経路におけるCARD11分子の重要性から、構造解析を進めることは極めて意義が大きいと考える。
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