2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of novel treatment strategies for adult T-cell leukemia/lymphoma by targeting anti-apoptotic proteins.
Project/Area Number |
17K09933
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
石塚 賢治 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (10441742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉満 誠 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (70404530)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ATL / 抗アポトーシス蛋白 / Bcl-2 / Mcl-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)は未だに予後不良な疾患であり、かつ今後は患者の高齢化が顕著となることから有害事象のより少ない治療手段の開発が必要である。 選択的Bcl-2阻害薬Venetoclaxは本研究開始時には本邦未承認であったが、2019年9月に慢性リンパ性白血病に対し承認された。しかしながら、VenetoclaxはBcl-XLやMcl-1など他の抗アポトーシス蛋白発現細胞には無効であり、本研究でATL細胞はBcl-2、Bcl-XL、Mcl-1を発現することが多く、Venetoclaxはin vitroではこれらの細胞に対する殺細胞効果は弱いことを明らかにした。 さらに本研究ではATL細胞に抗アポトーシス作用をもたらす蛋白としてMcl-1に注目し、最近開発された臨床グレードのMcl-1阻害剤、S63845の有効性を調べた。S63845(nMレベル)のATL細胞株に対する殺細胞効果は、それぞれのBcl-2、Bcl-XL、Mcl-1蛋白の発現を反映していたが、Bcl-2蛋白を強く発現しS63845による殺細胞効果が弱い細胞株においてもVenetoclaxと併用することによって、著明な殺細胞効果が得られた。重要なことはVenetoclax、S63845あるいはその併用によっても健常人由来単核球にはほとんど障害を与えないことである。 これらの事実はATLの治療戦略において、単一の抗アポトーシス蛋白の抑制では不十分である可能性が高いが、複数、特にBcl-2とMcl-1を同時に標的とする手段は非常に有望な選択となりうることを示している。しかもこれらを標的とする薬剤は既に臨床応用され、もしくは既に進行中の他疾患に対する開発治験が進行中であり、ATLへの臨床応用のためのハードルが高くないことは開発上の大きなメリットと言える。
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