2018 Fiscal Year Research-status Report
新規RUNX1阻害因子による造血制御機構の解明と分子標的としての応用
Project/Area Number |
17K09936
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉田 達士 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80315936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 司 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30291587)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | RUNX1 / 白血病 / 転写制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
RUNX1は造血発生制御を担う重要な転写因子であり、白血病における遺伝子異常の標的となっている。我々は、RUNX1に結合するCRP1を見出し、この因子がRUNX1による転写制御を抑制する阻害因子であることを発見した。CRP1によるRUNX1機能阻害メカニズムの生化学・分子生物学的解析を行った。RUNX1は急性骨髄性白血病において染色体転座の標的となり、RUNX1-ETO融合タンパク質を発現している。RUNX1-ETO融合遺伝子を入手し、発現プラスミドを構築した。RUNX1-ETOとCRP1を哺乳動物細胞内に発現させて、免疫沈降法によって解析したところ、CRP1はRUNX1-ETOとは会合しないことが判明した。新たなRUNX1標的遺伝子としてあるサイトカインを見出した。レポーターアッセイをした結果、RUNX1はこのサイトカインの発現を転写レベルで調節していることが判明した。CRP1はRUNX1によるこのサイトカインの転写制御についても抑制的に働くことを発見した。CRP1遺伝子欠損マウスとRUNX1遺伝子改変マウスと交配させて表現型解析を行った。RUNX1遺伝子改変マウスで生じる脾臓のT細胞分化異常が、CRP1遺伝子欠損マウスと掛け合わせることで軽減する傾向が認められた。また、尾部から末梢血を採取し血球分化パターンを解析した結果、RUNX1遺伝子改変マウスで生じる血球分化異常も軽減する傾向が認められた。更に、交配マウスの個体数を増やして解析を続ける計画である。また、他のタイプのRUNX1遺伝子改変マウスとCRP1遺伝子欠損マウスを交配させて同様の解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
急性骨髄性白血病で見られるRUNX1融合タンパク質RUNX1-ETOとCRP1の関係を解析することができた。また、RUNX1遺伝子改変マウスとCRP1遺伝子欠損マウスを交配させて表現型解析を行うことができた。CRP1の欠損により、RUNX1遺伝子異常を軽減できるという傾向が認められた。更に、交配マウスの個体数を増やして解析するとともに、他のタイプのRUNX1遺伝子改変マウスとの交配も行って解析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
計画書通りに研究を遂行する。RUNX1遺伝子改変マウスとCRP1遺伝子欠損マウスの交配実験では結果が得られつつあるので、引き続いて研究を実施する。蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の実験系を用いてRUNX1-CRP1結合阻害化合物の探索を行う。この実験では、in cell analyzerを用いたハイスループット系によって実施する。
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