2017 Fiscal Year Research-status Report
白血病幹細胞を保護する骨髄細動脈ニッチ:その制御機構の解明
Project/Area Number |
17K09944
|
Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
中山 享之 愛知医科大学, 医学部, 教授 (00456659)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国崎 祐哉 九州大学, 医学研究院, 助教 (80737099)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 骨髄造血微小環境 / 骨芽細胞 / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨芽細胞に隣接している細動脈叢は、より未分化な造血幹細胞(白血病幹細胞を含む)を保持する骨髄ニッチと報告されているが、その制御機構は不明である。ヒト白血病マウスを、予後不良因子であるFGF2で処理したところ骨芽細胞と幼若白血病細胞の増加、抗癌剤抵抗性の亢進が認められた。FGF2は、白血病細胞に対して直接的な増殖効果は無く、骨芽細胞においても白血病細胞に対する支持能力を亢進させなかった。しかしVEGF-Aの分泌増加を初めとする血管新生促進効果を骨芽細胞において示した。よって細動脈ニッチは、骨芽細胞からの血管新生因子により制御され、FGF2にて機能が亢進するではないかと予想した。骨芽細胞から分泌されるVEGF-Aの生理的意義を検証するため、骨芽細胞特異的にVEGF-Aをノックアウトしたマウスを、骨芽細胞に特異的に発現するプロモーターcol 2.3の下流にCreを組み込んだマウスとVEGF-A遺伝子の両端にfloxを組み込んだマウスの交配により作製した。現時点では、そのマウスをFGF2刺激し、細動脈ニッチおよび造血幹細胞がどのように変化するかを解析している。その後、同系マウスの白血病細胞を移植し、FGF2と抗癌剤で処理する。FGF2が、骨芽細胞におけるVEGF-A発現を上昇させるメカニズムを解析するために、マウスVEGF-Aのプロモーターをクローニン後にルシフェレーズベクターにサブクローニングした。現在、これをもちいてFGF2によるVEGF-A発現上昇がプロモーターを介在したものかを解析している。プロモーターを介在した発現上昇であれば、プロモーター上の責任部位の同定を行い、そうでない場合にはmRNAの安定性を解析する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の予定として(1)骨芽細胞特異的にVEGF-Aをノックアウト(K/O)するため、骨芽細胞に特異的に発現するプロモーターcol 2.3の下流にCreを組み込んだマウスとVEGF-A遺伝子の両端にfloxを組み込んだマウスを交配させ、骨芽細胞特異的にVEGF-Aを欠失させるマウスの作成、(2)VEGF-Aのプロモーター解析を行うためのルシフェレースベクターの作成をかかげていたが、それらが概ね達成できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
wild typeマウスおよび骨芽細胞特異的VEGF-A K/OマウスをFGF2で刺激し、血管新生ならびに正常造血幹細胞にどのような差が生ずるか検証する。またFGF2にAra-Cを加えて刺激し正常造血幹細胞の抗癌剤耐性がどのように変化するか確認する。以上は、confocal microscopyを用いて行う。得られたVEGF-Aプロモータールシフェレースベクターをリポフェクション方により骨芽細胞に導入する。それらをFGF2で刺激し、どこまでdeleteするとプロモーターとしての機能が欠失するか確認する。もし最長のプロモーターを組み込んだプラスミドにおいてもFGF2刺激に反応しない場合には、プロモーターによるものでは無いと判断し、mRNAの安定性やmicro RNAによる制御の解析を行う。
|
Causes of Carryover |
cK/Oマウスを作成するために用いるマウスが、予想より少なくてすんだため次年度使用額が生じた。このcK/Oマウスを使った刺激実験において、使用する匹数を増やし、実験の精度をあげることを計画している
|