2017 Fiscal Year Research-status Report
自己免疫性造血不全におけるdel(13q)クローン活性化機序の解明
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17K09947
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石山 謙 金沢大学, 附属病院, 講師 (60377380)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自己免疫性造血不全 / 13番染色体長腕の部分欠失(del(13q)) / LRCH1 / OLFM4 |
Outline of Annual Research Achievements |
自己免疫性造血不全において、13番染色体長腕の部分欠失(del(13q))を持つ造血幹細胞が優先的に活性化されるメカニズムへのLRCH1とOLFM4変異の関与の有無を明らかにするために、13番染色体長腕に位置するLRCH1、OLFM4、PIGAの3遺伝子に対し、CRISPR-Cas9系を用いてK562細胞株からのノックアウト(KO)を試みた。LRCH1、OLFM4抗体を使用し、ウエスタンブロッティングおよびフローサイトメトリーにより両遺伝子のKO細胞株を評価したところ、LRCH1のKO株は得られなかったが、OLFM4とPIGAのKO株を樹立することができた。そこで野生型K562と、OLFM4-KOおよびPIGA-KO K562との間でウシ胎児血清下でのアクチン重合誘導を比較したが、アクチン重合を定量的に評価することが困難であった。このためアクチンの上流に位置するRho結合キナーゼ(ROCK)の活性化を評価するため、ROCKのターゲットであるMYPT-1とMLC2のリン酸化をウエスタンブロッティングで検討する予定である。 一方、一部の顆粒球は細胞内のOLFM4をフローサイトメトリーで検出することができることが報告されていたことから、抗OLFM4抗体を用いてOLFM4陽性顆粒球を検出する系を確立し、健常者とdel(13q)陽性者との間で陽性細胞に差がみられるかを検討した。これによってdel(13q)顆粒球が検出されることを期待したが、del(13q)顆粒球の有無によらず再生不良性貧血患者ではOLFM4陽性顆粒球割合が高い傾向がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
K562細胞株に対し、CRISPR-Cas9系を用いて、LRCH1、OLFM4、PIGAの3遺伝子のKOを試みたが、LRCH1のKO細胞株がまだ樹立できていない。また、種々のサイトカインで刺激した野生型K562とOLFM4-KO細胞株との間で、アクチン重合および細胞形態の変化を観察する予定であったが、K562細胞のファロイジン染色性が弱いため、重合アクチンを定量することが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
OLFM4-KO K562細胞を用いて、ウシ胎児血清添加によるリン酸化MYPT-1とMLC2の誘導を引き続き評価する。一方、K562は造血因子に非依存性であるため、アクチン重合の誘導刺激が不明確であるため、同じCRISPR-Cas9を用いて、GM-CSF依存性TF-1細胞株と、我々が樹立した再生不良性貧血患者由来のiPS細胞株のそれぞれからOLFM4-KO細胞を作製する。すでに樹立しているPIGA-KO TF-1細胞、OLFM4-KO TF-1細胞、野生型TF-1細胞の3群間で、GM-CSFによるアクチン重合の誘導をファロイジン染色とリン酸化MYPT-1・MLC2の定量により評価する。また、野生型およびOLFM4-KO iPS細胞をOP9細胞培養上清の存在下で培養することにより、造血幹細胞への誘導効率を比較する。またOLFM4のKOによってTF-1細胞の赤血球分化が促進されている可能性があるため、グリコフォリンAやヘモグロビンの発現レベルを野生型TF-1細胞と比較する。
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