2018 Fiscal Year Research-status Report
クロマチン構造調節蛋白SATB1によるリンパ球初期分化制御機構の解析
Project/Area Number |
17K09952
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土居 由貴子 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60722288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金倉 譲 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20177489)
横田 貴史 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60403200)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / 血球分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) SATB1が制御する遺伝子locusの同定 :N末端に2種類の人工タグを有するSATB1を発現するマウスを作製し、C57B6/J系列の純系マウスと10回以上の戻し交配を行った。SATB1を標的としたChip-assayの効率を高めるための条件検討を行い、SATB1は核マトリックスそのものとは異なり、水溶性条件において容易に溶出できることがわかった。 (2) SATB1発現レベルと調節を受ける遺伝子の変化の解析 :(1)で作製した、戻し交配途中のタグ化SATB1発現マウスとSATB1レポーターマウスを交配し、両アリルを持つ個体が正常に出生・発育し、妊孕性にも問題のないことを観察した。また、産仔の食殺が多い問題を解決するために里親を用意するなどの工夫を行い、安定した数が得られつつある。 (3) SATB1と造血幹細胞の老化との関係の解析 :平成30年度以降の実験に用いるため、SATB1レポーターマウスにつき、各月齢のマウスグループが安定して得られるよう、交配・飼育計画を立案し実施した。また、両者の造血幹細胞におけるSATB1発現のゆらぎの大きさと軌道を比較するための予備実験を立案した。加齢による発現量の変化する遺伝子とそうでない遺伝子のプロファイリングを行い、ゆらぎの大きさの程度を変動係数で表したところ、リンパ球分化に関連する遺伝子のゆらぎは、加齢により小さくなることがわかった。
さらに、これまでの研究で得られた知見をまとめ、学術雑誌Cell Reportsに論文投稿を行った。雑誌reviewerの意見を考慮した追加実験を行い、再度同雑誌にrevised editionを投稿し、2018年6月18日出版号に論文掲載された(Doi et al. Cell Rep. 2018,12;23(11):3223-3235.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時における平成29-30年度の計画として、以下の3つを予定した。(1) タグ付加SATB1発現マウスの作製 (2) SATB1発現レベルと調節を受ける遺伝子の変化の解析 (3) SATB1と造血幹細胞の老化との関係の解析 それぞれについての実験を行い、また次年度以降の実験のための基礎データを得た。 また、これまでの研究で得られた知見をまとめ、学術雑誌に論文投稿を行い掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) タグ付加SATB1発現マウスの作製:タグ付加SATB1発現マウス骨髄から採取した造血幹細胞に対しChip-sequence assayを行い、SATB1と結合するゲノムDNA領域の候補を抽出する。造血幹細胞に SATB1を強制発現した際に発現量が変化する遺伝子の情報、SATB1陽性造血幹細胞において発現上昇している遺伝子の情報と照合し、造血幹細胞がリンパ球分化能を高める際にSATB1が直接制御する遺伝子を同定する。 (2) SATB1発現レベルと調節を受ける遺伝子の変化の解析:Satb1-floxマウスを用いて造血幹細胞特異的なSATB1欠損マウスを作製し、造血幹細胞機能関連遺伝子およびリンパ球分化関連遺伝子の発現状態の変化を、野生型マウスを対照群として解析する。また、Satb1Tag/Tomatoのアリルをもつマウスを用い、造血幹細胞からリンパ球系前駆細胞への分化過程において、SATB1発現の増加に伴い、SATB1蛋白と結合する遺伝子プロファイルがどのように変化するのかを、RNA-sequence およびタグ化SATB1を標的としたChip-sequenceにより網羅的に解析する。 (3) SATB1のリンパ球分化能力の維持と、造血幹細胞の老化における役割の解析:老齢・若齢のSATB1レポーターマウスよりSATB1陰性・陽性の造血幹細胞を分取し、遺伝子発現量についてのプロファイリングを行う。次に、変化の度合いを比較し、加齢に伴う個々の遺伝子発現量の変化や、gene annotation解析による機能的な変化、変動係数を指標としたゆらぎの程度についての解析を行う。また、造血幹細胞特異的な条件付きSATB1ノックアウトマウスを用い、そのリンパ球産生能力と、造血幹細胞における遺伝子発現状態の変化を、若齢から老齢まで継時的に観測する。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Variable SATB1 Levels Regulate Hematopoietic Stem Cell Heterogeneity with Distinct Lineage Fate2018
Author(s)
Yukiko Doi, Takafumi Yokota, Yusuke Satoh, Daisuke Okuzaki, Masahiro Tokunaga, Tomohiko Ishibashi, Takao Sudo, Tomoaki Ueda, Yasuhiro Shingai, Michiko Ichii, Akira Tanimura, Sachiko Ezoe, Hirohiko Shibayama, Terumi Kohwi-Shigematsu, Junji Takeda, Kenji Oritani, and Yuzuru Kanakura
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 23
Pages: 3223, 3235
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research