2018 Fiscal Year Research-status Report
移植超急性期からの能動的Treg増幅を可能とする新しい免役制御アルゴニズムの開発
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17K09954
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松岡 賢市 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (90432640)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 同種造血幹細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
移植後シクロフォスファミド療法(PTCy)は、HLA半合致移植(ハプロ移植)の設定においても効率的に急性移植片対宿主病(急性GVHD)を予防するが、一方で、移植片白血病効果(GVL効果)が減弱する可能性が指摘されている。昨年度までに、PTCy移植法のGVL効果を検証する担がんマウスモデルを確立した。この系を用いて検証したところ、PTCy群の早期腫瘍死が確認され、PTCyによるGVL効果の減弱が示唆された。当該年度では、この問題に対処するために、移植後シクロフォスファミドの減量が、急性GVHDに及ぼす影響について検討した。予想されたように、減量PTCy群は通常量PTCy群に比較して、重症の急性GVHDを発症した。これに対し、NKT細胞のリガンドであるαガラクトシルセラミドのリボゾーム製剤(Liposomal αGC)をシクロフォスファミド後に投与したところ、寛容性NKT細胞を活性化させることを通じて、制御性T細胞(Regulatory Tcells; Tregs)の移植後回復を促進させ、十分な急性GVHD予防効果を回復させることが確認された。重要なことに、減量PTCy群は通常量PTCy群に比して、強力なGVL効果が発現し、腫瘍死を抑制した。減量シクロフォスファミド後にリボゾーム化αガラクトシルセラミド投与は、この強化されたGVL 効果に影響を与えることはなかった。これらの結果から、減量シクロフォスファミド後にリボゾーム化αガラクトシルセラミドをアジュバントとして加える治療戦略は、GVHDを軽減しながらGVLを担保することが示された。来年度は、このメカニズムについて、検討を重ね、論文発表を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
移植後急性期のGVL/GVHD、および、リボゾーム化αガラクトシルセラミドのアジュバント効果を検討する系を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は、平成30年度までに確定した実験系を用いて、減量シクロフォスファミド後にリボゾーム化αガラクトシルセラミドをアジュバントとして加える治療法が、GVHDを軽減しながらGVLを担保できるかどうかについて検証する予定である。
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Causes of Carryover |
僅かに今年度使用予定額に達しなかったものの、ほぼ予定通り進捗している。残額は、上記記載の検証のための消耗品に充当する。
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Research Products
(1 results)