2017 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating the mechanism of hematopoietic stem cell development and maturation by using a novel reporter mouse
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17K09958
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
横溝 智雅 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特定事業研究員 (80590314)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / 発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
血液細胞の発生は、まず幹細胞が出現し、そこから前駆細胞や分化細胞が生まれてくる、といった直線的な進行を示すわけではない。マウス胚では、造血幹細胞(HSC; Hematopoietic Stem Cell)の出現よりも前に、赤芽球骨髄球前駆細胞(EMP; Erythroid-Myeloid Progenitor)が検出される。なぜこのような複雑な形で発生が進行するのかについては明らかになっていない。また、現在広く用いられているES/iPS細胞からのin vitro分化培養法では、造血幹細胞ではなくEMPばかりが誘導されてしまうことから、EMPへの経路をいかにして遮断するかが造血幹細胞の試験管内誘導へ向けての重要な課題となっている。 我々は、発生直後の造血幹細胞、およびその前駆段階の細胞(プレ造血幹細胞)を識別するレポーターマウス(Hlf-tdTomatoマウス)を利用して、これまでに以下のことを明らかにしている。 1. 造血幹細胞の発生経路はHlf陽性を示す。一方、EMPの発生経路はHlf陰性である。 2. Hlfの発現はプレ造血幹細胞から造血幹細胞への成熟の過程で上昇する。 3. 造血幹細胞の発生経路では、造血幹細胞特異的な遺伝子群(Mecom、Procrなど)の発現が上昇している。一方、造血前駆細胞を特徴づける遺伝子群の発現については、造血幹細胞とEMPの発生経路に共通してみられる。 これらの結果は、造血幹細胞とEMPがそれぞれ別の種類の血管内皮細胞から産み出されることを強く示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画は、4つの課題、① 造血幹細胞の発生経路の同定、② ①で同定された造血幹細胞の発生経路の検証、③ 造血幹細胞の増殖を支える胎仔肝ニッチの同定、④ プレ造血幹細胞から造血幹細胞への成熟を促す胎仔肝ニッチの同定、に分かれているが、当初の計画どおり①をほぼ終え、現在②の課題を進めている。また、③、④についてもジュネーブ大学(スイス)のNombela-Arrieta博士との共同研究として進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は概ね順調に進行しており、今後も当初の計画に沿って進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)研究計画の一部を共同研究として他研究所の研究者がおこなったため。 (使用計画)作製を予定している遺伝子改変マウスの作製費、飼育費に使用する。
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Research Products
(4 results)