2018 Fiscal Year Research-status Report
初発AAV前向きコホートデータを用いた臨床病型・治療・バイオマーカーの多層的研究
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17K09986
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
堤野 みち 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (50277141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
針谷 正祥 東京女子医科大学, 医学部, 特任教授 (20238207)
要 伸也 杏林大学, 医学部, 教授 (60224581)
勝又 康弘 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60349719)
佐田 憲映 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (70423308)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ANCA関連血管炎 / 新規臨床サブセット / 治療戦略評価 / ANCA測定法 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
①新規臨床サブセット同定:この研究では、クラスター解析という統計学的手法を用いて従来の疾患名(MPA, GPA, EGPA)とは別の新規臨床サブグループを同定 する。この手法では、特定の研究仮説を設定せず、対象全集団の臨床的表現型と血清学的特徴から、探索的にサブグループを同定するため、RemIT-JAV、RemITJAV-RPGNに登録されたAAV患者のデータベースから解析に必要な情報を抽出し、解析用に整理した。 ②リスク・ベネフィットバランスを考慮した治療戦略の検討:RemIT-JAV、RemIT-JAV-RPGNに登録された日本人新規発症AAV患者における寛解導入療法別の患者背 景、寛解導入率、再燃率、死亡率の違いを解析するため、解析用のデータベースを整理した。 ③異なるANCA測定法の診断能、治療による変動、再燃・臓器病変の種類との関連性検討による有用性比較: RemIT-JAV-RPGN研究等で得られたAAV患者血清及び対照検体中のANCAを、保険収載済の間接蛍光抗体法、ELISA、CLEIA、FEIA、及び開発中のラテックス凝集法で測定した。ラテックス凝集法を除いて、どのANCA測定法も、概ね従来報告通り、かつ良好な感度・特異度をもつことが示された。 ④新規臨床サブセットと関連するバイオマーカーの同定:AAVの治療成績をさらに向上させるために、AMED ANCA関連血管炎の新規治療薬開発を目指す戦略的シー ズ探索と臨床的エビデンス構築研究で同定されたAAVのバイオマーカーについての情報を入手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①新規臨床サブセット同定:EGPAを除く対象の解析でANCAの種類、耳鼻咽喉症状・皮膚・腎などを特徴とするサブグループが同定された。また、CRP・Crを追加して行ったクラスター解析ではCRPとCr値で4つのサブグループが同定され、生命予後・腎予後を明確に区別できた。 ②リスク・ベネフィットバランスを考慮した治療戦略の検討:シクロホスファミドの併用で、寛解・生存・腎生存・再燃などのアウトカムの改善は見られなかったが、併用群では併用ステロイド量が少なかった。このことから長期的な安全性の改善が期待される。 ③異なるANCA測定法の診断能、治療による変動、再燃・臓器病変の種類との関連性検討による有用性比較: 開発中のラテックス凝集法を除いて、どの保険収載済のANCA測定法も、概ね従来報告通り、かつ良好な感度・特異度をもつことが示された。さらに、2017年に海外で開発・提案されたMPO-ANCAとPR3-ANCAの新しい標準品の測定結果も良好であった。 ④新規臨床サブセットと関連するバイオマーカーの同定:①でRemIT-JAV、RemITJAV-RPGNに登録されたAAV患者を4つのサブグループに分けることができたので、これらの患者のうち、「AMED ANCA関連血管炎の新規治療薬開発を目指す戦略的シー ズ探索と臨床的エビデンス構築研究」で収集した血清を用いてバイオマーカー研究が行われた患者を同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
①新規臨床サブセット同定:新たに同定した臨床徴候によるサブグループおよびCr・CRPによる予後を明確に区別できるサブグループを同定し、現在学術雑誌への論文投稿を行う。 ②リスク・ベネフィットバランスを考慮した治療戦略の検討:シクロホスファミドの併用で、ステロイド使用量が少なく長期的な安全性の改善が期待されることが明らかとなった。次期ガイドラインでの適用が可能となるよう学術雑誌への論文投稿を行う。 ③異なるANCA測定法の診断能、治療による変動、再燃・臓器病変の種類との関連性検討による有用性比較: 異なる測定法によるANCA測定結果と、AAVの病像・臓器病変との関連、及び治療前後の検体が得られた症例についての、治療による変動や再燃等の転帰との関連を検討する。 ④新規臨床サブセットと関連するバイオマーカーの同定:①で同定された新規臨床的サブセットを含む様々な臨床的サブセットと関連性があるバイオマーカーを同定する。
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Causes of Carryover |
①新規臨床サブセット同定:新たに同定した臨床徴候によるサブグループおよびCr・CRPによる予後を明確に区別できるサブグループを同定し、現在学術雑誌への論文投稿準備中である。 ②リスク・ベネフィットバランスを考慮した治療戦略の検討:シクロホスファミドの併用で、ステロイド使用量が少なく長期的な安全性の改善が期待されることが明らかとなった。本研究が次期ガイドラインでの適用が可能となるよう学術雑誌への論文投稿を行う。③異なるANCA測定法の診断能、治療による変動、再燃・臓器病変の種類との関連性検討による有用性比較:当初より、異なる測定法によるANCA測定結果と、AAVの病像・臓器病変との関連、及び治療前後の検体が得られた症例についての、治療による変動や再燃等の転帰との関連を検討する予定であったが、開発中の測定法の扱いなどを検討するのに予定外の時間を要してしまつたため。④新規臨床サブセットと関連するバイオマーカーの同定:①における新規臨床的サブセットの同定に予定以上に時間を要し、バイオマーカーとの関連解析研究が遅れてしまったため。
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Research Products
(3 results)