2018 Fiscal Year Research-status Report
PI3Kをターゲットとした難治性喘息における粘液産生制御の検証
Project/Area Number |
17K09993
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
竹田 正秀 秋田大学, 医学部, 寄附講座等教員 (30466594)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植木 重治 秋田大学, 医学系研究科, 准教授 (60361234)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 喘息 / PI3Kγ / 気道上皮細胞 / 粘液産生 / MUC5AC / サイトカイン / ETosis |
Outline of Annual Research Achievements |
難治性喘息のひとつの病型として、杯細胞の過形成や粘液栓形成の関与が報告されている。粘液栓については気道上皮細胞からのMUC5AC産生が重要であるほか、近年粘液栓の粘ちょう性に好酸球ETosisが関与することが明らかになっている。本研究では、粘液産生の制御に着眼し、動物実験等からその制御に関与することが示唆されているPI3Kγについて、PI3Kγ選択的阻害薬の粘液産生への影響およびそのメカニズムについて検討することで難治性喘息の新規治療薬探究への基盤的知見を得ることを目的としている。 平成29年度はEGF刺激による気道上皮細胞株からのMUC5AC産生をPI3Kγ選択的阻害薬が有意に抑制するという知見を得た。近年、複数の論文で気道上皮細胞からのIL-8やGM-CSFが気道上皮細胞からのMUC5AC産生を誘導するという報告がなされている。その結果をうけ、平成30年度はeotaxin刺激による気道上皮細胞からのIL-8、GM-CSF産生をPI3Kγ選択的阻害薬が抑制するかをELISA法を用いて検討した。結果、PI3Kγ選択的阻害薬は気道上皮細胞からのIL-8、GM-CSF産生を有意に抑制するという知見が得られた。 加えて平成30年度は、PI3Kγ選択的阻害薬の好酸球ETosisへの影響を検討した。ヒト分離好酸球をSYTOX IgAで刺激することで好酸球のETosisが誘導できるが、この反応をPI3Kγ選択的阻害薬が抑制する現象を複数回観察している。今後は、好酸球ETosisに対するPI3Kγの関わりをさらに検討していく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、気道上皮細胞からのMUC5AC産生ならびにIL-8、GM-CSF産生をPI3Kγ選択的阻害薬が有意に抑制することを確認できた。また平成30年度は好酸球ETosisに対するPI3Kγの関与についても検討を行い、複数回の検討でPI3Kγ選択的阻害薬が好酸球SYTOX IgAによるETosisの誘導を抑制するという結果を得ている。平成31年度はこの好酸球ETosisへの関わりをさらに検討するとともに、これまで得られた知見を国内外の学会でひろく発信していく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、主に好酸球ETosisに対するPI3Kγの関わりについてさらに検討を加えていく。具体的には現在すすめているSYTOX IgA刺激による好酸球ETosisについてのPI3Kγ選択的阻害薬の影響について、位相差観察、共焦点観察、電子顕微鏡による観察で、現在まで確認できているPI3Kγ選択的阻害薬による抑制現象を再現できるか検討を重ねて行く。以上の実験系についてはPan-PI3K阻害薬も同様にして行い、Pan-PI3K阻害薬とPI3Kγ選択的阻害薬のETosisに与える影響の違いなども検討していく。 平成29年度、平成30年度で気道上皮細胞からのMUC5AC産生やサイトカイン産生におけるPI3Kγの関わりについては、有意な実験結果が得られている。そのため平成31年度は、これまで得られた知見を国内外に学会発表や論文発表でひろく発信していく予定である。
|
Causes of Carryover |
平成30年度は実験に必要な試薬やELISAキットを購入した。ELISAキットについては、一部研究室内に使用可能なものもあったため試薬購入に関わる費用が一部必要とならなかった。 平成31年度は、ヒト好酸球を用いた実験を中心に行っていく。ヒト好酸球の選択的分離には研究コストがかかり、平成31年度は試薬購入に充てられる部分が多くなると考える。また平成29年度、平成30年度の研究成果により、平成31年度は国内外にひろく研究結果を発信していきたいと考えている。そのため、平成31年度は国内外への出張旅費や論文掲載に関わる費用などを計上していくことになると予想される。 以上、平成31年度は主に、ヒト好酸球を用いた研究ならびに、研究成果発信のための旅費、論文投稿に関わる費用に研究費を使用していく予定である。
|