2019 Fiscal Year Annual Research Report
Modified anti-CD3 as a therapeutic antibody for lupus
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17K10001
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水井 理之 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30423106)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 抗CD3サイレント抗体 / SLE / 自己抗体 / 臓器障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
T細胞受容体(TCR)の発現を調節する目的で、断片化抗CD3抗体(Anti-CD3e F(ab)’ 2)に代わり、抗CD3-Fc不活化抗体(anti-CD3 Silent)を入手し検討したところ、anti-CD3 silent抗体は通常抗体に比し、長期間安定したTCR発現抑制効果が認められることがわかった。 重症SLEモデルであるMRL/lprマウスへのanti-CD3 silent抗体投与では、自己抗体産生抑制、組織傷害抑制効果は明らかではなかったため、自然発症SLEモデルのNZB/W F1マウスを使用することとした。まず、臓器障害が明らかになる前の10週齢より1ヶ月間、anti-CD3 Silent抗体を投与したところ、抗ds-DNA抗体価の上昇が抑制されることが判明した。これに対し、通常のanti-CD3抗体では、減少効果は認められなかった。さらに、silent抗体投与マウスにおいては、対照群に比して脾臓における濾胞性ヘルパーT細胞数減少とともに濾胞中心B細胞の有意な減少を認めた。 さらに、より疾患が重篤化する20週齢から1ヶ月間、同様にanti-CD3 silent抗体を投与した。この週齢からの投与では、抗ds-DNA抗体価の抑制効果は認められなかったが、腎臓や肺といった末梢臓器への炎症細胞浸潤は抑制されており、特に腎糸球体細胞数、腎実質サイトカイン発現も減少した。通常のanti-CD3抗体投与群では炎症抑制効果は有意ではなかったことから、anti-CD3 silent抗体による安定した長時間のTCR発現抑制によって、局所での炎症惹起が抑えられたと考えられる。 これらの結果より、anti-CD3 silent抗体は、TCR発現を低下させることにより、SLE早期では自己抗体産生を、中後期においては臓器の炎症惹起を抑制することにより、自己免疫疾患を改善させることが示唆された。
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Research Products
(2 results)