2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on the host-parasite communications in malaria mediated by platelet-derived exosomes.
Project/Area Number |
17K10014
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
磯尾 直之 帝京大学, 医学部, 講師 (80420214)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マラリア / エクソソーム / CD41 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究成果は以下である。 (1)血小板に由来するCD36+CD41+エクソソームが、なぜマラリア原虫感染赤血球に特異的に取り込まれるのかという問題につき考究した。CD41/CD61ヘテロダイマーがインテグリンヘテロダイマーとして細胞間接着に深く関与していることは以前から知られており、赤血球表面の分子としてはICAM-4がその結合リガンドとして報告されている(Hermand, P., et al. (2003). "Red cell ICAM-4 is a novel ligand for platelet-activated alpha IIbbeta 3 integrin." J Biol Chem 278(7): 4892-4898.)。しかしこれだけでは非感染赤血球に取り込みが見られないことが説明できず、他の候補分子の検索が求められた。 ここで注目されたのは血小板由来接着因子PECAM-1であり、これは感染赤血球が発現するPfEMP-1と親和性が高いことが知られている。ウエスタンブロット法により、分化誘導CMK11-5(巨核芽球由来cell line)とこれから精製したエクソソームにPECAM-1が確認された。今後、これらの分子のモノクロナル抗体などを用いることにより、CD36+CD41+エクソソームの感染赤血球への取り込みがブロックされるかを検証してゆく。 (2)今年度市販されるようになった新しいスカベンジャー受容体アンタゴニストML-278を用いて、マウスでのマラリア治療の研究に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最重点項目であったマラリア治療を目指したin vivo studyは、幸いにも新しいスカベンジャー受容体アンタゴニストML-278を利用できるようになったため、順調に進展している。また、CD36+CD41+エクソソームの感染赤血球への親和性に関する研究は、当初のCD41が機能分子であるという仮説が行き詰った別の観点から新しい機能分子PECAM-1を見出し、一応の結論が得られた。また、マラリアと直接の関係はないが、CD36+CD41+エクソソームが単球系細胞にも取り込まれることが一連の研究過程で判明した。マウス腹腔マクロファージへの取り込みを定量的にCD36+CD41-エクソソームとで比較することにより、CD41が少なくとも単球系細胞との親和性に関与する機能分子といってよいことが判明した。これは動脈硬化のメカニズムのかかわる重要な知見と考えており、こうした副産物も特筆される。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)マラリア治療を目指したin vivo study(ML-278を用いて) 今後Nの数を増やし、有意差がみられるかを検証するとともに、安全性を確認のうえ、治療薬として臨床研究に発展させられるかを検討する。 (2)新しい治療薬候補について 抗PECAM-1モノクロナル抗体を用いたあらたなin vitroおよびin vivo studyを計画中である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行により研究活動が滞ったこともあり、科研費の使用期限を延期していただいた。
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Research Products
(1 results)