2017 Fiscal Year Research-status Report
細胞傷害性T細胞によるHIV-1増殖抑制機構の解明
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17K10021
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
村越 勇人 熊本大学, エイズ学研究センター, 特任講師 (60646123)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞傷害性T細胞 / HLA / HIV-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
HIV-1増殖のコントロールに関係する10種類のエピトープに特異的な細胞傷害性T細胞(CTL)の機能解析をするため、まずIFN-γ ELISPOT assayにおいてエピトープ特異的CTL反応が見られた感染者のPBMCをそれぞれのエピトープペプチドで刺激し、2週間培養後エピトープ特異的bulk CTLを誘導した。その後誘導したbulk CTLから限界希釈法によってCTLクローンを樹立し、段階希釈したエピトープペプチドを結合させた抗原提示細胞(721.221細胞:それぞれのHLA拘束分子を発現している)に対するIFN-γ産生能をIFN-γ細胞内染色法で検出した。その結果、いずれのエピトープ特異的CTLも10nMのペプチド濃度において高い頻度のIFN-γ産生細胞が認められ、これらのCTLの抗原認識能は高いことが示された。 721.221細胞にHIV-1サブタイプBのウイルス株であるNL-4-3を感染させ、HIV-1感染細胞を作製し、HIV-1感染細胞に対する10種類のエピトープ特異的CTLクローンのIFN-γ産生能をIFN-γ細胞内染色法で解析した結果、いずれのCTLも感染細胞に対して高いIFN-γ産生能が認められ、エピトープが感染細胞内でプロセシングされ、細胞表面で抗原提示されることが明らかとなった。 さらに、HIV-1感染CD4T細胞とエピトープ特異的CTLクローンを共培養し、in vitroでのCTLによるHIV-1増殖抑制能を解析した結果、いずれのCTLも効率よくHIV-1増殖を抑制していることが示され、これらのCTLは高いHIV-1増殖抑制能を有することが明らかとなった。 以上の結果、in vivoでHIV-1増殖のコントロールに関与していた10種類のエピトープ特異的CTLは実際に高いHIV-1増殖抑制能を持っていることが検証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HIV-1増殖のコントロールに関係する10種類のエピトープに特異的な細胞傷害性T細胞のクローン作製およびそれらの細胞を用いたin vitroでのHIV-1増殖抑制効果の解析から、計画を立てる際に想定していた通りの結果が得られたので、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
430人の日本人無治療慢性HIV-1感染者の血漿を採取し、それぞれの感染者に感染しているウイルスのアミノ酸シークエンスを解析することで、エピトープ内において変異が出現しているか調べる。以上の解析から、変異が日本人にどの程度蓄積しているかを明らかにする。 エピトープ内での変異アミノ酸の頻度が1%以上の場合、それらの変異を含む変異ペプチドを作製し、エピトープ特異的CTLクローンのwild-typeペプチドまたは変異ペプチドを結合させた721.221細胞に対するIFN-γ産生能をIFN-γ細胞内染色法で検出し、CTLによる変異ペプチドへの認識能を評価する。 上記の変異を導入した変異ウイルスを作製し、CTLクローンのwild-typeウイルスまたは変異ウイルスを感染させた721.221細胞に対するIFN-γ産生能をIFN-γ細胞内染色法で検出することで、CTLによる変異ウイルス感染細胞への認識能を評価する。
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Causes of Carryover |
(理由)30年度の研究計画において、さらなるペプチド合成が必要であると考えられたため、次年度に繰り越しを行った。これにより、大幅な研究の進展が見込める。 (使用計画)さらなるペプチド合成の費用を算出した。また、細胞内染色用試薬、およびプラスチック器具にかかる費用を算出した。さらに、国内外の研究成果の発表に伴う旅費を算出した。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] HLA class I-mediated HIV-1 control in Vietnamese infected with HIV-1 subtype A/E2018
Author(s)
Chikata T, Tran GV, Murakoshi H, Akahoshi T, Qi Y, Naranbhai V, Kuse N, Tamura Y, Koyanagi M, Sakai S, Nguyen DH, Nguyen DT, Nguyen HT, Nguyen TV, Oka S, Martin MP, Carrington M, Sakai K, Nguyen KV, Takiguchi M.
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Journal Title
Journal of Virology
Volume: 92
Pages: e01749-17
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Novel, in-natural-infection subdominant HIV-1 CD8+ T-cell epitopes revealed in human recipients of conserved-region T-cell vaccines2017
Author(s)
Nicola Borthwick, Zhansong Lin, Tomohiro Akahoshi, Anuska Llano, Sandra Silva-Arrieta, Tina Ahmed, Lucy Dorrell, Christian Brander, Hayato Murakoshi, Masafumi Takiguchi, Tomas Hanke
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Journal Title
PLoS One
Volume: 12
Pages: e0176418
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Impact of a single escape mutation selected by HLA-A*24:02-restricted CD8+ T cells on HIV-1 control by HLA-B*35:01-restricted ones and T cell adaptation2017
Author(s)
Hayato Murakoshi, Tomohiro Akahoshi, Madoka Koyanagi, Takayuki Chikata, Katherine L James, Yoshiko Tamura, Nozomi Kuse, Xiaoming Sun, Hiroyuki Gatanaga, Sarah L Rowland-Jones, Shinichi Oka, and Masafumi Takiguchi
Organizer
IAS 2017
Int'l Joint Research
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