2018 Fiscal Year Research-status Report
細胞傷害性T細胞によるHIV-1増殖抑制機構の解明
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17K10021
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
村越 勇人 熊本大学, エイズ学研究センター, 特任講師 (60646123)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞傷害性T細胞 / HLA / HIV-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
HIV-1増殖抑制能を有する10種類のエピトープ特異的細胞傷害性T細胞(CTL)の変異ウイルスに対する反応を明らかにするため、エピトープ特異的反応を持つHIV-1感染者において、感染者に見られる32個の変異エピトープへのCTL反応をELISPOTアッセイ法によって解析した。その結果、10個の変異ペプチドに対しての反応は0-25%の感染者でしか認められず、これらはエピトープ特異的CTLに認識されにくいことが考えられた。一方、他の22個の変異ペプチドのうち、5個の変異ペプチドに対しては33.3-44.4%の感染者においてCTL反応が認められ、残りの17個の変異ペプチドに対しては62.5-100%の感染者で反応が認められた。この結果、これら22個の変異エピトープは、wild-type特異的T細胞にcross-recognitionされるか、変異エピトープ特異的T細胞によって認識されることが推察された。 次に、エピトープ特異的T細胞の変異エピトープに対する認識能を評価するため、前年度に樹立したT細胞クローンを用い、サイトカイン細胞内染色法によってT細胞反応を解析した。ELISPOTアッセイ法において33.3-100%の感染者で反応が認められた22種類の変異エピトープについてT細胞の認識を評価した結果、全ての変異エピトープに対してT細胞クローンが反応することが判明し、これら22個の変異エピトープはエピトープ特異的T細胞によってcross-recognitionされることが明らかとなった。 以上の結果から、HIV-1増殖抑制能を有する10種類のエピトープ特異的CTLは、HIV-1感染者に広まっているHIV-1を認識できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HIV-1感染者に見られる変異エピトープに対する10種類のCTLの免疫応答の解析から、計画を立てる際に想定していた通りの結果が得られたので、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
HIV-1感染者に見られる変異を導入した変異ウイルスを作製する。 樹立したエピトープ特異的CTLクローンのwild-typeウイルスまたは変異ウイルスを感染させた721.221細胞に対するIFN-γ産生能をIFN-γ細胞内染色法で検出することで、CTLによる変異ウイルス感染細胞への認識能を評価する。 CTLの拘束分子である5種類のHLAの日本人感染者における頻度を調査し、10種類のエピトープ特異的CTLが日本人におけるエイズワクチンの開発に有用であるかを明らかにする。
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Research Products
(10 results)