2020 Fiscal Year Research-status Report
肺MAC症の治療効果を予測するバイオマーカーの探究
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17K10023
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
伊藤 穣 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (80362482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新實 彰男 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (30252513)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Mycobacterium avium / LL-37 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度から44例の肺MAC症疑い例に気管支肺胞洗浄(BAL)を施行した。M. aviumを20例、M. intracellulareを9例、M. abcessus+M. intracellulare、M. abscessus、M. kansasii、M. talmoniaeをそれぞれ1例ずつの計32例の非結核性抗酸菌症を診断した。このうちM. avium症14例とM. intracellulare症6例、M. abscessus、M. talmoniae各1例の計24例に1年以上の抗菌治療を行った。5例が排菌持続もしくは再排菌が持続している。1年以上の抗菌治療により菌陰性化した10例、陰性化しなかった5例での間でBAL液中のLL-37を比較し、有意差はなかった(P=0.637)。同様に画像所見の改善のあった12例と改善なかった2例の間でBALF中のLL-37を比較したが、有意差はなかった(P=0.393)。 BAL液中の細胞分画のうち好中球の割合とLL-37の間に有意な正相関(r=0.617, P=0.002)、マクロファージには有意な負の相関を認めたが(r=-0.557, P=0.007)、リンパ球には相関を認めなかった(r=-0.254, P=0.254)。 臨床分離株22株M. avium 12株、M. intracellulare 10株)に対するLL-37の最小発育阻止濃度(MIC)は20μg/ml以上と、LL-37自体の抗菌活性は弱かったが、LL-37存在下での抗菌薬に対するMICは低下し、抗菌活性が増強した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の流行により、患者の登録が減少していることCOVID-19診療のために実験の時間の確保が難しいためやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1年間以上治療を行ったのは24例で、当初予定していた目標症例数23を超えており、臨床評価を行い、LL-37が治療効果を予測するバイオマーカーとなるか評価を行う。 仮説が否定的な可能性があり、生体でのLL-37の産生機構や臨床分離株ごとのLL-37産生能の違いを確認する。BAL液中の細胞は分離できなかったので代わりに、MAC気道上皮細胞、好中球の培養細胞に対して、M. avium GTC603標準株を用いて、LL-37の発現の有無を確認する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行により症例集積が少なかったため、全例のLL-37の測定を行わなかった。ELISAキットを購入し、LL-37の測定を行う。
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