2019 Fiscal Year Research-status Report
抗酸菌由来Dアミノ酸によるマクロファージの活性調節についての基礎的検討
Project/Area Number |
17K10028
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
多田納 豊 国際医療福祉大学, 薬学部, 講師 (70432614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨岡 治明 安田女子大学, 教育学部, 教授 (40034045)
佐野 千晶 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (70325059)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | D-アミノ酸 / MAC / マクロファージ / 抗酸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの検討により、Mycobacterium intracellulareにおいて存在が認められた5種類のD-アミノ酸について、マクロファージ細胞への作用を調べた。 MAC感染マクロファージに5種類それぞれのD-アミノ酸を培養液中に添加し培養した結果、マウスマクロファージにおいて、5種類のD-アミノ酸のうちの1つのD-アミノ酸は、早期(24時間培養後)での活性酸化窒素分子種(NOS)の産生を増強することが明らかとなった。長期間(4, 7日間)の培養では、D-アミノ酸の添加による影響は認められなかった。また、MAC感染マクロファージに5種類のD-アミノ酸を同時に添加して培養した場合は、長期間(4日間)培養後もNOS産生量の増強が認められた。なお、それぞれのD-アミノ酸に対応する鏡像異性体のL-アミノ酸を用いた同様の検討ではNOSの産生増強は認められなかった。 次に、これらのD-アミノ酸によるマクロファージのD-アミノ酸酸化酵素(DAO)の発現誘導についてリアルタイムPCR法により検討した。複数のプライマーセットを設計し実験を行ったが、5種類のD-アミノ酸それぞれの添加によるDAOの発現誘導は認められなかった。 抗酸菌が細胞内寄生性細菌であり、抗酸菌が産生するD-アミノ酸のマクロファージにおける細胞内での作用について検討するため、マクロファージ細胞内へのD-アミノ酸を送達することを目的として、D-アミノ酸のリポソーム製剤化を蛍光色素化合物であるFluoreceinを指標にして検討を行った。脂質の組成の検討により、マクロファージ細胞に取り込まれるリポソームの調製法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Mycobacterium intracellulareが産生するD-アミノ酸のマクロファージに対する作用の一端が明らかになりつつある。また、細胞内寄生性細菌である抗酸菌が産生するD-アミノ酸が、細胞内で作用することを想定した実験系の確立も進んでいる。しかしながら、当該年度は大学運営(新学部設立)に関するエフォートが非常に大きく、また異動もあり、研究に対するエフォートを十分に確保することが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
D-アミノ酸によるマクロファージのNOS産生増強作用を中心に、マクロファージの細胞内シグナル伝達分子の発現や活性化、およびマクロファージの分極化マーカータンパク質の変動について検討する。また、これらの検討は、D-アミノ酸のリポソーム製剤化したものを用いることで、細胞内でのD-アミノ酸放出に基づく変動を明らかにする。 また、抗酸菌感染マウスにおけるMAC菌の増殖や病理像について、D-アミノ酸を投与した際の影響について調べる。
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Causes of Carryover |
当該年度は所属する大学の運営(新学部新設)に関わるエフォートが非常に大きく、当初の研究計画と異なり、研究に対するエフォートを十分に確保することが非常に困難であった。当該年度実施を予定していたD-アミノ酸のマクロファージ活性化への影響について、RNAseq解析を計画していたが、そちらも実施することができなかった。次年度はこのRNAseq解析の実施を予定しており、この費用を保持するためにも、次年度使用額が生じている。
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