2017 Fiscal Year Research-status Report
ライソゾーム逸脱型BCG-Tokyo新規ワクチン開発と免疫学的評価
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17K10035
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
本多 三男 日本大学, 医学部, 客員教授 (20117378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相澤 志保子 日本大学, 医学部, 准教授 (30513858)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 結核 / BCG / 組換えBCG |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題ではライソゾーム逸脱型BCG-Tokyoを作成し、これにAg85B抗原遺伝子をさらに組込んで、既存のBCGよりも有効な結核ワクチンを開発することを目的としている。Ag85Bは結核を含む抗酸菌のなかで広く保存されており、抗酸菌の細胞壁の合成に重要な機能を有する分泌タンパクである。これまでに、我々は既存のBCGにMycobacterim kansasiiのAg85Bを組込んだ組換えBCGを作成し、マウスに接種し免疫学的応答などの解析を行い既存のBCGよりも強力に抗原特異的細胞性免疫応答が誘導可能であることを確認済みである。しかし、Mycobacterim kansasiiのAg85Bは結核菌のAg85Bとの相同性が89%であるため、結核菌のAg85Bを組込んだBCGでの検討が必要であると考えた。そこで、本年度はまず結核菌のAg85BをBCG-Tokyoに組込んだ組換えBCGを作成することとした。結核菌とBCG(Mycobacterium bovis BCG)のAg85Bは相同であるため、BCGのAg85Bをコードしたプラスミドを入手して使用した。このプラスミドからAg85Bのコーディング領域を切り出し、抗酸菌のシャトルベクターにライゲーションし新たなプラスミドを作成した。このプラスミドを大腸菌に導入して、大量のプラスミドを得ることができた。さらに、このプラスミドをBCG-Tokyoに導入し新たな組換えBCGを作成した。加えて、免疫のブースターとして使用するために、BCGのAg85BをコードしたプラスミドをDNAワクチンとして新たに作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では本年度中にライソゾーム逸脱型BCG-TokyoにAg85Bを組込むところまで進める予定であった。しかし、研究を遂行するなかで、我々がこれまで進めてきたMycobacterium kansasii由来のAg85Bを組込んだ組換えBCGに加えて、結核菌(もしくはBCG)由来のAg85Bを組込んだ組換えBCGを作成し、菌株内でのAg85Bの発現を比較して我々が進めているMycobacterium kansasii由来のAg85Bを組込んだ組換えBCGの優位性を示すことを求められた。さらに、これらの二つの組換えBCGを動物に接種して免疫誘導能や感染防御能を検討することとした。従って、今年度は研究協力者からBCG由来のAg85Bをコードしているプラスミドの分与を受け、BCG由来のAg85Bを組込んだ組換えBCGの作成に取り掛かった。すなわち当初の予定を変更し、やや遅れた進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はBCG由来のAg85Bを組込んだ組換えBCGの作成に取り組み、BCGに組み込むことができるシャトルベクターの完成までを見た。次年度はこのシャトルベクターをBCGに組み込みBCG由来のAg85Bを組込んだ組換えBCG(rBCG-BCG85B)の完成を目指す。上記の組換えBCG(rBCG-BCG85B)が完成したのちに、rBCG-BCG85Bとこれまでに作成した組換えBCG(rBCG-Mkan85B)のウェスタンブロッティングを行い、組み込んだAg85Bの発現量を比較する。また、rBCG-BCG85BとrBCG-Mkan85Bをそれぞれマウス(BALB/c、C57BL/6、CB6F1など)に接種して抗原特異的細胞性免疫応答の誘導能を既存のBCGと比較する。さらにrBCG-BCG85BとrBCG-Mkan85Bをそれぞれ接種したマウスにおける結核菌の感染実験を行い感染防御能をお互いにあるいは既存のBCGと比較する。進行が遅れているライソゾーム逸脱型BCGの作成も進める。
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Causes of Carryover |
(理由)組換えBCGの作成に当初の予定よりも時間がかかり、本年度中にウェスタンブロッティングやマウスへの接種実験ができなかった。そのため、予算額の大部分を次年度に繰り越すこととなった。 (使用計画)昨年度に施行できなかった実験に必要な試薬等を購入するために予算を使用する。具体的にはウェスタンブロッティング用の抗体・試薬・メンブレンなど、マウス、マウス飼育費用、フローサイトメトリー用抗体・試薬など。その他、基礎的な実験試薬や器具としてPBS、細胞培養用培地、抗酸菌培養用培地、大腸菌培養用培地、チューブ、ピペット、チップ、シャーレ、フラスコなどを購入する。
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