2017 Fiscal Year Research-status Report
パーソナリティー形成におけるヘッジホッグシグナルの役割
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17K10048
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
内川 英紀 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任講師 (80618059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 克則 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (70344992)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヘッジホッグシグナル / ゴーリン症候群 / パーソナリティー |
Outline of Annual Research Achievements |
パーソナリティー形成におけるソニックヘッジホッグ(Shh)シグナルの役割を解明するため、Shhシグナルが亢進しているGorlin症候群患者とそのモデルマウスを対象に研究を進めている。Gorlin症候群は奇形発生と易腫瘍形成を特徴とする神経皮膚症候群の一つで、PTCH1等の病的バリアントにより胎児期からShhシグナルが亢進している。神経伝達物質の産生細胞形成にShhシグナルは大きく関与している。 まずは自己記入式質問紙である日本語版Temperament and Character Inventoryを用いてパーソナリティーの特徴を調査した。Gorlin症候群14例、コントロール16例で調査を行い、損害回避が有意に低下していた(P=0.0092)。先天奇形を伴う6例に限定するとさらに有意な低下がみられた(P=0.0042)。 損害回避はセロトニンとの関連性が報告されており、次にセロトニンとの関係が大きい中脳と扁桃体の形態について検討した。Gorlin症候群10例、コントロール10例を対象にしてMRI画像から、中脳は前後径、扁桃体は画像処理ソフトを用いて体積を計測した。中脳については有意差を認めなかった。扁桃体はGorlin症候群において有意に左側の縮小がみられた(P=0.002)。さらにGorlin症候群の中で先天奇形あり郡7例となし郡3例で比較したところ、あり郡で有意に左扁桃体の縮小を認めた(P=0.019)。 今後はGorlin症候群のモデルマウスであるPtc1遺伝子ヘテロ接合性ノックアウトマウス(Ptc1+/-)を用いて研究を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画ではマウスの実験を進めているところだが、マウスを増やすことに難渋している。その代わりに計画になかった脳形態について検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はGorlin症候群のモデルマウスであるPtc1遺伝子ヘテロ接合性ノックアウトマウス(Ptc1+/-)を用いて研究を進めていく。脳組織中のセロトニン等神経伝達物質の濃度を測定する。遅延報酬待機などの行動解析についても検討していく。
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Causes of Carryover |
マウスの実験関連の支出が多くなる予定。マウス、ケージ、維持費等。また、ELISAやPCR等の実験関連の支出も多い。これらの理由により平成30年度の支出が多くなることが見込まれたため残しておいた。
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