2018 Fiscal Year Research-status Report
パーソナリティー形成におけるヘッジホッグシグナルの役割
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17K10048
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
内川 英紀 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任講師 (80618059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 克則 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (70344992)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヘッジホッグシグナル / ゴーリン症候群 / パーソナリティー |
Outline of Annual Research Achievements |
パーソナリティー形成におけるソニックヘッジホッグ(Shh)シグナルの役割を解明するため、Shhシグナルが亢進しているGorlin症候群患者とそのモデルマウスを対象に研究を進めている。Gorlin症候群は奇形発生と易腫瘍形成を特徴とする神経皮膚症候群の一つで、PTCH1等の病的バリアントにより胎児期からShhシグナルが亢進している。パーソナリティー形成において神経伝達物質が深く関わっており、その産生細胞形成にShhシグナルの関与は大きい。 2018年度はGorlin症候群のモデルマウスであるPtc1遺伝子ヘテロ接合性ノックアウトマウス(Ptc1+/-)を用いて研究を進めている。 まずは脳組織中のセロトニン濃度を測定した。8週令のGorlin症候群モデルマウス(変異型)と野生型とを6匹ずつ、大脳、小脳、基底核にわけて、ELISAを用いて濃度を比較検討した。平均値で大脳は変異型6.06ng/ml、野生型4.80ng/ml、小脳は変異型2.80、野生型1.28ng/mlでGorlin症候群モデルマウスにおいて高値の傾向(大脳P=0.14、小脳P=0.18)であった。さらに検体数を増やして検討する予定である。さらにドーパミンとセロトニンの代謝産物である5-HIAAについても検討する。 セロトニンや扁桃体に関連した不安や恐怖等の情動機能を評価するために行動実験も進めている。Gorlin症候群モデルマウス(変異型)と野生型とを比較検討している。オープンフィールド試験ではそれぞれ3匹ずつ行っており、平均値で歩行距離は変異型39558mm、野生型31465mmで、中央部の滞在時間は変異型27.3秒、野生型19.8秒とGorlin症候群モデルマウスにおいて不安感が低い傾向が見られている。個体数を増やすとともに、さらに高架式十字迷路試験、手がかり学習恐怖条件付け試験についても行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスの脳組織中の神経伝達物質濃度測定と、行動実験を進めているが、ゴーリン症候群モデルマウスが思ったより得られず、データがまだ少ない。
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Strategy for Future Research Activity |
Gorlin症候群モデルマウスと野生型において、大脳、小脳、基底核の組織中のセロトニン濃度を引き続き測定する。ドーパミンとセロトニンの代謝産物である5-HIAAの濃度も測定する。 セロトニンや扁桃体に関連した不安や恐怖等の情動機能を評価するために行動実験も進める。Gorlin症候群モデルマウスと野生型とで比較する。オープンフィールド試験は、引き続き個体数を増やして検討する。高架式十字迷路試験は、オープンアームでの滞在時間やオープンアームへの覗き込み回数を測定。手がかり学習恐怖条件付け試験は、音刺激と電撃ショックを与え、1日後や7日後に別のケージにて音刺激のみ与えたときのすくみ行動時間を測定する。 これらよりマウスにおけるShhシグナルと神経伝達物質や情動機能との関連性を明らかにし、ヒトでの結果と合わせて考察していく。
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Causes of Carryover |
モデルマウスが想定した数が得られず、実験がやや遅れている。 今後はELISA関連の物品や、行動実験関連の物品を必要とする。 また、論文作成や学会発表での費用も必要である。
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Research Products
(2 results)