2017 Fiscal Year Research-status Report
7T MRIを用いたプラダー・ウィリ症候群における行動発達特性の脳基盤解明
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17K10049
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山田 謙一 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (70436773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 雄治 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (90529851)
鈴木 清隆 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (40303169)
渡辺 将樹 新潟大学, 脳研究所, 助教 (40345517)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 磁気共鳴画像 / 7テスラ / 発達障害 / プラダー・ウィリ症候群 / 脳発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、プラダー・ウィリ症候群(PWS)における行動発達特性に関連した脳組織微細構造の発達異常を、当事者を対象に非侵襲的に可視化して、病態を解明することである。PWSは特徴的な行動発達特性(過食、強迫性、衝動制御障害等)を呈するが、その脳発達基盤は不明である。症候に寄与しうる脳部位において組織微細構造の成熟異常が存在するとの仮説に基づき、7T MRIを用いた脳画像解析により、脳部位特異的な成熟異常の手掛かりを探索し、PWS脳の生物学的理解への貢献を目指す。 初年度は、7T MRI拡散イメージングのための撮像条件パラメータ最適化から始めた。超高磁場特性への考慮と同時に撮像時間の短縮を優先的事項としたパラメータを探索した。一方で、小児や発達障害をもつ参加者が無鎮静撮像に参加できるための環境設定と撮像手順構築を並行して進めた。具体的には、モックスキャナー(ゼロテスラシステム)を使用した独自のプレパレーションプロトコルを準備した。その上で、5名の健常ボランティアと3名のPWS当事者による撮像を行った。その結果、撮像参加ならびに無鎮静撮像中の静止が可能であることが確認され、高解像度構造画像では、PWSに特徴的とされる脳形態特徴を観察した。拡散イメージングはまず従来のパラメータによる拡散テンソル画像解析を行ったが、脳組織微細構造の更なる評価には、発展的な手法(例:非ガウス分布を前提とした解析)の適応も考慮する必要が示唆された。 今後は、無鎮静下での限定的撮像時間を優先に、より適切なパラメータ最適化をすすめ、健常ボランティアおよび症例の撮像を進めていく。解析方法も検討し、病態解明につながる検出手法の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、7T MRI拡散イメージングのための撮像条件パラメータ最適化から始めた。超高磁場特性への考慮と同時に撮像時間の短縮を優先的事項としたパラメータを探索してきている。一方で、小児や発達障害をもつ参加者が安心して参加できるための環境設定ならびに撮像手順の確認を並行して進めた。具体的には、独自のプレパレーションプロトコルとモックスキャナー(ゼロテスラシステム)を設定した。その上で、5名の健常ボランティアと3名のPWS当事者にて撮像を行った。撮像参加ならびに撮像中の静止が可能であることが確認された。拡散解析のためのパラメータは引き続き最適化を進めていく必要がある。 これらの経過は、当初予定していたシーケンス選択とパラメータ最適化が進み、ならびに撮像環境整備をできていること、またPWS当事者撮像が遂行可能であることを確認できたことから、おおむね順調に推移していると考えらえる。更に研究を進める必要性を確認できたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果は、環境設定により、健常ボランティアならびにPWS当事者が撮像に安定して参加できることを示唆している。今後は撮像パラメータの更なる検討、健常ボランティアおよびPWS当事者の撮像を積み重ねる。具体的には、拡散テンソル解析を始めその他の拡散解析手法(非ガウス分布を前提とした解析方法等)を発展的に考慮する。PWS当事者への案内については、サポートグループ等での研究紹介を積極的に行う。
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Causes of Carryover |
本年度は、データ解析用PCおよび周辺機器、小児用頭部固定具、心理検査用具等が速やかに準備されたこと、また撮像対象者が3名であり、招聘に要する費用が抑えられたことから差額が生じた。次年度は、データ解析に必要なソフトウェアや機器、心理発達検査用具等を購入する予定である。情報収集のために学会参加ならびに、被験者との事前面談ならびに参加のための打ち合わせ等を行う。またデータ整理、発達評価を含めた研究補助協力者に対する謝金も計画している。
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Research Products
(2 results)