2017 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism of sound localization in human autism using autism model rats
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17K10050
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
江藤 みちる (伊田みちる) 三重大学, 医学系研究科, 助教 (80393148)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自閉症 / ラット / 脳幹 / 聴覚 / 抑制性ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症は、コミュニケーション障害・社会性の障害・常同行動といった中核症状のほかに、感覚過敏など感覚処理の問題がしばしば合併する。本研究では、自閉症モデルラットを用いて聴覚の中枢神経系の中継核異常の機能的意義、特に音源定位の神経回路の解析を行い、ヒト自閉症診断への応用を目指すことを目的とする。本年度は、自閉症モデルラットの聴覚中枢神経系の基礎的データを収集するため、自閉症モデルラットを作製して形態学的解析を行った。 (1)外側上オリーブの解析:本モデルラットには台形体核の異常が明らかになっている。台形体核から抑制性投射を受ける外側上オリーブは両耳間音圧差を検知して音源定位に関与する神経核である。台形体核からの投射はグリシン作動性であることから、グリシン受容体に対する抗体を用いて外側上オリーブの免疫組織化学を行った。その結果、自閉症モデルラットでは外側上オリーブの免疫陽性反応の低下および細胞数の減少が見られた。 (2)抑制性シナプスの解析:台形体核の機能を明らかにするため、シナプスの解析を行った。抑制性シナプスはGABA作動性シナプス、グリシン作動性シナプスがある。GABA作動性シナプスマーカーとしてGAD65/67抗体、抑制性ニューロンマーカーとしてパルブアルブミン抗体、パルブアルブミン発現ニューロンの神経活動や可塑性に関わるペリニューロナルネットのマーカーとしてWFAレクチンを用いて免疫組織化学を行っている。現在、データの解析中である。 (3)音刺激による聴覚神経系の解析準備:ラットに音刺激を加えて神経細胞の活動を解析するため、音刺激装置のセットアップおよび予備実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外側上オリーブについて新しい知見を得ることができたが、両耳間音圧差を検出する内側上オリーブの解析は進んでいない。次年度予定していた音刺激装置のセットアップに着手し予備実験を行いつつ改良を重ね、ようやく本実験が始められる準備を整えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
音刺激装置のセットアップが整ったので、神経細胞の反応について解析を進める予定である。台形体核の詳細な解析、内側上オリーブや下丘の解析も合わせて行っていく。
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