2018 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism of sound localization in human autism using autism model rats
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17K10050
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
江藤 みちる (伊田みちる) 三重大学, 医学系研究科, 助教 (80393148)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自閉症 / ラット / 脳幹 / 聴覚 / 抑制性ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症は、コミュニケーション障害・社会性の障害・常同行動といった中核症状のほかに、感覚過敏など感覚処理の問題がしばしば合併する。本研究では、自閉症モデルラットを用いて聴覚の中枢神経系の中継核異常の機能的意義、特に音源定位の神経回路の解析を行い、ヒト自閉症診断への応用を目指すことを目的とする。本年度は、自閉症モデルラットの聴覚中枢神経系を明らかにするため、自閉症モデルラットを作製し、成体(生後50日、青年期)と生後21日の幼若期(離乳直前で聴力が獲得できた時期)についての形態学的解析および音刺激に対する聴覚神経系の応答について解析を行った。 (1)形態学的解析:グリシン受容体に対する抗体を用いて外側上オリーブの免疫組織化学を行い、成体の自閉症モデルラットで免疫陽性反応の低下および細胞数の減少について昨年報告した。生後21日で同様の解析を行ったところ、コントロールに比べて自閉症モデルラットでは免疫反応および陽性細胞が減少しており、幼若期でもすでに聴覚神経系の異常を引き起こしていることが明らかとなった。 (2)音刺激に対する聴覚神経系の応答:ラットを無麻酔で防音箱に入れ、シンセサイザーで16 kHzの純音を1時間ばく露させた。直後に灌流固定を行って脳スライスを作製し、c-Fos抗体を用いて免疫組織化学を行った。コントロールでは蝸牛神経核、台形体核、下丘において16 kHzの音に反応する領域にc-Fos陽性細胞が観察された。自閉症モデルラットではc-Fos陽性細胞の反応領域が広がっており、さらに陽性細胞数も増加していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生後21日と生後50日の形態学的解析を比較することで、幼若期からすでに聴覚神経系の異常が自閉症モデルラットで起こっていることが今回明らかにできた。 また、音刺激による神経細胞の反応についての新しい知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回は無麻酔下で音刺激を行ったため音源の方向は定まっていないため、次年度には麻酔下で音刺激を試す予定である。
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