2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel medicine using iPS cells derived from Gaucher disease type II patients
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17K10054
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
城戸 淳 熊本大学, 医学部附属病院, 診療助手 (70721215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 公俊 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (30336234)
沼川 忠広 熊本大学, 発生医学研究所, 特定事業研究員 (40425690)
松本 志郎 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (70467992)
曽我 美南 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (80768002)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | iPS細胞 / Neural stem cell / 神経型ゴーシェー病 / GlcSph / LAMP1 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、我々が持つ正常者およびゴーシェー病II型患者由来のiPS細胞から樹立したNeural stem cell(NSC)を使用して、リソソームの膜蛋白質であるLAMP1 の発現が、qRT-PCR、免疫蛍光染色 (In cell analyzer 6000によるLAMP1の蛍光面積×強度)でゴーシェー病II型患者由来NSCにおいて優位に高いことが確認できた。また、さらに、この二者のNSCを用いて、プチスクリーニング2014; シグマ アルドリッチおよび理化学研究所の橋爪氏らから提供いただいた化合物ライブラリーの化合物 合計1392種類の化合物で薬剤スクリーニングを行った。その中からLAMP1の発現が低下している薬剤は、約120種類ほどあった。さらに、二次スクリーニングとして、スクリーニングの検体数を増やすことで、最終的に8種類の薬剤まで絞りこむことができた。さらに、LC/MSにおいて、正常者およびゴーシェー病II型患者由来のNSCにおけるGlcCerやGlcSphの定量に成功した。NSCにおいては、両者の細胞内ではGlcCerの蓄積量に有意な差は認められなかったが、GlcSphにおいては、優位にゴーシェー病II型患者由来のNSCにおいて有意な差を認めた。また、ゴーシェー病II型患者由来のiPS細胞としては、1検体しか保持てきていなかったが、今年度は、同じ家族内で診断したゴーシェー病II型患者由来のiPS細胞およびNSCを樹立した。同様に、ゴーシェー病III型患者からもiPS細胞およびNSCも樹立できた。神経型ゴーシェー病モデルマウスとして、Gba flox/flox とGba flox/+-Nestin Cre/+マウスを イスラエル のTony Futerman教授から入手に成功した。すでに、genotypingは終え、現在繁殖させているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゴーシェー病II型患者由来のiPS細胞(2検体:兄弟例)とゴーシェー病III型患者由来のiPS細胞の樹立とそのiPS細胞からのNeural stem cell(NSC)およびNeuron細胞の樹立はできた。予定していたようにゴーシェー病II型患者由来のiPS細胞から樹立したNSCを用いて、lysosomal-associated membrane protein 1 (LAMP1) をマーカーにしながら1392種類の化合物についての薬剤スクリーニングを終えた。この中から、二次スクリーニングを終了した地点で、8種類の化合物にまで絞ることができた。また、ゴーシェー病II型患者由来のNSCにおいて、グルコシルスフィンゴシン (GlcSph)が正常者のNSCよりも蓄積していることもLC/MSによって確認できた。また、神経型ゴーシェー病モデルマウスもイスラエルのWeizmann Institute of Scienceに所属しているのTony Futerman教授から入手でき、genotypingは終え、さらに生後2週間でけいれんを発症している神経型ゴーシェー病モデルマウスが誕生したことも確認できている。以上のように、平成29年度に予定していた計画はおおむね順調に行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、ゴーシェー病II型患者由来のNSCを使用しての薬剤スクリーニングで、効果のあると考えられた8種類の薬剤を候補にして、これらの薬剤作用後のNSC内のGlcSphの定量を行う。ゴーシェー病II型患者由来のNSCにおいて、薬効があれば、薬剤を作用させているゴーシェー病II型患者由来のNSCは、薬剤を作用させていないゴーシェー病II型患者由来のNSCよりもGlcSphの蓄積量が減少すると考えられる。また、平成30年度は、ゴーシェー病II型患者由来NSCと正常者iPS細胞から樹立したNSCをNeuronに分化誘導し、両者間の神経についてカルシウムシグナルについて評価する。すでに、Fluo 4-AMを用いた細胞内のカルシウムシグナル伝達は、ゴーシェー病II型患者由来NSCから分化させたNeuronにおいて、カルシウムシグナル伝達が正常者NSC由来のNeuronよりも亢進していることが確認できた。さらにカルシウムシグナル伝達の亢進について、カルシウムイオンチャンネルにフォーカスを充てて解析する予定である。上記の薬剤の中でNSC内のGlcSph量を低下させる薬剤を使用して、Fluo 4-AMによる細胞内のカルシウムシグナル伝達の改善を認めるか調べる。また、ゴーシェー病II型患者Neuronでは、まだ調査していないが、開口放出能が低下していることが予測されるため、シナプス前終末の機能や分泌現象の計測に活用されているFM1-43を使用して、解析し、さらに上記の薬剤の中でGlcSphの蓄積量を低下させた化合物処理をして、その際の開口放出能 (神経伝達物質放出能) を測定する。また、ゴーシェー病モデルマウスについては、随時繁殖させ、ゴーシェー病の病態についてさらに検討し、最終的には、有効化合物が確立した際の、in vivoにおける薬剤の評価システムを確立する予定でる。
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Causes of Carryover |
平成29年度は、年度末に海外での学会発表があったため、一部研究費に余裕を持たせる必要があった。そのため、試薬などの購入を控えて、平成30年度に購入したい試薬を購入する方針にした。平成30年度は、行わなければいけない実験が多数あるため、積極的に試薬や抗体などの購入費用に研究費を積極的に使用させていただきたい。
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Research Products
(2 results)