2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K10055
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中村 公俊 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (30336234)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 低ホスファターゼ症 / スクリーニング / 酵素活性 / アルカリホスファターゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
低ホスファターゼ症は組織非特異的アルカリホスファターゼ(TNSALP)の欠損によって発症する骨の石灰化障害である。われわれは、新生児スクリーニング用の濾紙血を用いて、アルカリホスファターゼ活性を測定する方法を開発した(特許出願中)。本研究では、従来の生化学的方法では不可能であった、濾紙血検体を用いた活性測定による新生児期の低ホスファターゼ症のスクリーニングをおこなった。この検査によって、疾患頻度、病型の多様性を明らかにし、適切な治療時期の検討を行うことで、低ホスファターゼ症の疾患概要を明らかにする。 TNSALP の酵素活性測定を妨害せず、かつ乾燥血液濾紙から効果的に酵素を抽出することができる抽出液組成を見出した。そして直径3.2㎜の乾燥濾紙血ディスクからTNSALP 活性を測定することを可能とした。また、基質の安定化を図ることで、一度に多数の検体の同時測定が可能となった。すなわち、現行の新生児マススクリーニングで用いられている乾燥濾紙血を用いた低ホスファターゼ症のスクリーニング検査が可能になった。さらに、乾燥濾紙血の活性と重症度がどの程度相関しているのか確認をおこなっている。低ホスファターゼ症は病型によって適切な治療時期や、治療の適応が違うと考えられているため、新生児期の検査によって病型を正確に判断することができるかについて確認をおこなっている。本研究では、これらの課題について確認し、濾紙血検体を用いたTNSALP活性測定による新生児期の低ホスファターゼ症のスクリーニングを平成31年2月から、熊本県全域で出生した新生児を対象として開始した。そして、低ホスファターゼ症の疾患頻度、病型の多様性を明らかにし、適切な治療時期の検討を行うことで、低ホスファターゼ症の疾患概要を明らかにすることを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において、既に新生児スクリーニング用の濾紙血を用いて、アルカリホスファターゼ活性を測定する方法を開発した(特許出願中)。また、従来の生化学的方法では不可能であった、ろ紙血検体を用いた活性測定による新生児期の低ホスファターゼ症のスクリーニング法を確立した。さらに平成31年2月から、熊本県全域の新生児を対象として新生児スクリーニングを開始している。この検査によって、疾患頻度、病型の多様性を明らかにし、適切な治療時期の検討をおこなうことで、低ホスファターゼ症の疾患概要を明らかにすることが可能である。 TNSALP の酵素活性測定を妨害せず、かつ乾燥血液濾紙から効果的に酵素を抽出することができる抽出液組成を見出し、乾燥濾紙血ディスクからTNSALP 活性を測定することを可能としている。また、基質の安定化を図ることで、一度に多数の検体の同時測定が可能となった。すなわち、現行の新生児マススクリーニングで用いられている乾燥濾紙血を用いた低ホスファターゼ症のスクリーニング検査が可能となり、それを応用して新生児スクリーニングを実施することができた。さらに、乾燥濾紙血の活性と重症度がどの程度相関しているのか確認をおこなうことで、低ホスファターゼ症の疾患頻度、病型の多様性を明らかにし、適切な治療時期の検討をおこなうことで、低ホスファターゼ症の疾患概要を明らかにする本研究の目的が、予定通り達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、新生児スクリーニング用の濾紙血を用いて、アルカリホスファターゼ活性を測定する方法を開発し、従来の生化学的方法では不可能であった、ろ紙血検体を用いた活性測定による新生児期の低ホスファターゼ症のスクリーニングを開始している。この検査によって、疾患頻度、病型の多様性を明らかにし、適切な治療時期の検討をおこなうことで、低ホスファターゼ症の疾患概要を明らかにすることが可能である。 今年度は、昨年度に引き続いて熊本県全域での低ホスファターゼ症の新生児スクリーニングを継続する。その中で発見されたアルカリホスファターゼ低値の新生児は、生化学検査におけるアルカリホスファターゼ測定、アミノ酸検査におけるホスホエタノールアミン測定、遺伝子解析などをおこない、低ホスファターゼ症の確定診断をおこなう。蘇飛手、低ホスファターゼ症の適切な診断、治療の時期と、疾患概要とを明らかにする。
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Causes of Carryover |
新生児マススクリーニング濾紙血を用いたアルカリホスファターゼ活性を、新規に開発した測定方法により測定している。特に患者検体の確認と、保険診療を用いた確定診断、正常検体との比較をおこなった。そのため、物品費は予定より少額で本年度の目的を達成できている。昨年度から熊本県全域での測定を開始したことから、次年度使用額1,342,066円は、主にこの物品費として使用する予定である。また、研究成果を定期的に学会発表、論文発表するために使用する予定である。
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Research Products
(8 results)