2017 Fiscal Year Research-status Report
子どもの受動喫煙防止対策に資するPM2.5濃度とタバコ煙に関するコホート研究
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17K10059
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Research Institution | Gunma Paz University |
Principal Investigator |
井埜 利博 群馬パース大学, 保健科学部, 客員教授 (60138261)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | PM2.5 / コチニン / ELISA / 受動喫煙健診 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は熊谷市における小学4年生に対する受動喫煙検診と同年度に行う生活習慣病検診を合わせて解析した結果を基に、保護者・児童の生活習慣と受動喫煙曝露の関係性について検討した。 喫煙率は最近5~6年、父親・母親とも緩やかな低下を示した(平成29年度では父親41.4%、母親14.1%)。また、尿中コチニン濃度未検出者は1192名(81.8%)であり、年ごとにその割合は増加している。高濃度曝露(40ng/mL以上)の児童は7名のみ(0.5%)であり、この10年で最も少ない割合であった。受動喫煙検診開始から10年が経過し、開始当初は半数以上の児童から尿中コチニンが検出されていたが、平成29年度は8割以上の児童で検出限界以下となり、その割合は年々減少していた。 一方、朝食を家族と一緒に食べない児童は食べる児童と比べ、尿中コチニン濃度の検出割合が有意に高かった(28% vs 17%)(p<0.001 χ2検定)。また、睡眠時間6~7時間、8時間、9~10時間の3群における尿中コチニン濃度はそれぞれ5.3、2.5、2.2ng/mLであり、9~10時間睡眠と比べ、6~7時間睡眠の児童は受動喫煙曝露を有意に受けていた。 受動喫煙検診により、児童の受動喫煙曝露を定量的に示すことができ、また、その結果を保護者にフィードバックしたことによりこの10年間で受動喫煙曝露の割合を大幅に改善することができた。また、家庭環境や生活環境・生活リズムと受動喫煙曝露の関係性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究を進めるに当たり、購入予定であったPM2.5浮遊粒子用デジタル粉塵計(品番 MD4SP-621Tシリーズ)の購入が製造販売会社の都合により廃番になったため、新たに使用するデジタル粉塵計の検討から見積・購入・納入に至る一連の流れに約1年要したことが挙げられる。検討の結果、新たな測定機器としてPM2.5デジタル粉じん計LD−5R(柴田科学)を決定した。また、統計解析ソフトと解析用パソコンの購入も同様の理由から納品が遅れた結果、研究初年度の大半を割く形となった。 研究に用いる事前アンケート作成と家庭における保護者の喫煙行動をチェックするための行動記録用紙、測定機器を取り扱うために必要な看護職・事務職へのレクチャーと模擬試験などは終了しているものの、所属する群馬パース大学への研究計画書提出と倫理委員会の審査が未了となっている。 尿中バイオマーカーのうち、NNALや1-OHPの計測は国立保健医療科学院に調査研究の協力依頼をしたが、現在検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に挙げた研究対象例数に近づくべくできるだけ多くの例数を集めるよう努力する。また、NNALや1―OHP測定の可能性も早期に検討したい。
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Causes of Carryover |
(理由)本研究に必要な粉塵系の納品が当初の予定よりも遅くなり、研究調査に必要な物品、謝礼、検査費用がかからなかったため。また、事務用品の購入を計画していたが、今年度は購入の必要がなくなったため。 (使用計画)研究調査のための諸費用、学会参加の際の参加費および交通費、本研究に必要な物品の購入への使用を予定している。
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