2017 Fiscal Year Research-status Report
先天性CMV感染症におけるSLITRK6(遺伝性難聴原因遺伝子)の役割について
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17K10068
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
藤原 成悦 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 免疫アレルギー・感染研究部, 特任研究員 (30173488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 浩幸 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 免疫アレルギー・感染研究部, 室長 (70256866)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 先天性サイトメガロウイルス感染症 / サイトメガロウイルス / CMV / SLITRK6 / 難聴 |
Outline of Annual Research Achievements |
先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染は、精神発達遅滞や感音性難聴などさまざまな神経・感覚器障害を引き起こし、感染児の予後に重大な影響をおよぼす場合がある。CMVが神経・感覚器障害を引き起こすメカニズムを明らかにする目的で、ヒト神経系細胞を用いたin vitro CMV感染モデルを解析し、これまでに1) 遺伝性難聴の原因遺伝子として知られるSLITRK6の発現をCMVが抑制すること、2) CMVがコードするIE2がSLITRK6発現抑制に関与すること、を見出した。本年度は、CMV感染細胞におけるSLITRK6発現低下の意義を明らかにすることを目的として、ヒト神経系培養細胞に対してSLITRK6 shRNAあるいはSLITRK6発現ベクターを導入し、SLITRK6発現を特異的に抑制した細胞およびSLITRK6過剰発現細胞を作出した。これらの細胞を用いて、SLITRK6発現変動が神経系細胞の形態・増殖能・生存率などにどのような変化をもたらすのか、またこれらの細胞にCMVを実験的に感染させた後、CMV複製効率やCMVによる細胞障害性とSLITRK6発現レベルとの間に関連があるか検討を進めている。これらの解析により、神経系細胞におけるSLITRK6の機能、およびSLITRK6遺伝子産物の発現変動がCMV生活環に与える影響、さらにはCMVによるSLITRK6発現抑制が先天性CMV感染症における神経・感覚器障害とどのような関連性があるのかについて理解が深まると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CMV感染細胞におけるSLITRK6発現抑制の意義を明らかにする目的で、当初予定していた細胞の作出に取り組み、解析に着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
SLITRK6の発現変動がおよぼす影響について、神経系細胞の機能およびCMV生活環の観点から解析を進める。また、CMVによるSLITRK6発現抑制に機序についても解析に着手する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、ヒト神経系培養細胞に対してSLITRK6 shRNAあるいはSLITRK6発現ベクターを導入し、SLITRK6発現を特異的に抑制した細胞およびSLITRK6過剰発現細胞を作出した。これらの実験が予想より順調に進んだため試薬の消費が少なく、使用した研究費が計画を下回った。一方来年度は、これらの細胞を用いてSLITRK6発現変動が神経系細胞の形態・増殖能・生存率に与える影響や、CMV複製効率やCMVによる細胞障害に与える影響を検討する計画である。これらの実験には比較的高価な試薬を使用し、実験結果の整理のために人件費を必要とするため、本年度に未使用となった研究費を充てる計画である。
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