2019 Fiscal Year Annual Research Report
Whole genome analysis of congenital malformations
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17K10069
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Research Institution | Kanagawa Children's Medical Center (Clinical Research Institute) |
Principal Investigator |
黒澤 健司 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 部門長 (20277031)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 先天異常 / 遺伝的異質性 / エクソーム / マイクロアレイ / 先天多発奇形 / 遺伝カウンセリング |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝的異質性が高く原因や病態が不明な先天多発奇形の研究は、ヒトの発生に関わる遺伝子の普遍的な機能と病態解明に、有用な情報となる。今回、こうした先天多発奇形の治療法開発を目指し、その基盤となる病因を明らかにした。根本治療が困難な先天異常では予後改善も目標に据えた。対象は、臨床エクソーム解析やマイクロアレイ解析など、臨床における網羅的解析では疾患特異的変異を検出しない先天多発奇形症例(家系)で、表現型の確認に臨床記録も参照した。解析に当たっては施設内倫理審査を経て、個人情報の取り扱いには留意した。これまで蓄積されてきた先天多発奇形約800症例のうち病因が明らかでない家系を中心に解析を進めた。10家系においてこれまで報告のない遺伝子ゲノムの異常が、発症ならびに病態形成にかかわることを明らかにした。この中には、新規疾患概念の確立となったFAM20B遺伝子の両アレル性変異によるこれまで報告のない新しいDesbuquois dysplasia類縁疾患(Kuroda et al., 2019)も含まれた。既知疾患ではあるものの新しい病態を示した例として、Ellis-van Creveld症候群の1家系を報告した。心疾患による影響を除けば生命予後は比較的良好とされるEllis-van Creveld症候群の中には、極めて予後不良で致死の表現型をとる病型があることを明らかにした(Ohashi et al., 2019)。研究によって得られた成果は、直接の治療戦略には結びつかないものの、病態解析や遺伝カウンセリングに極めて有用な情報となった。
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