2017 Fiscal Year Research-status Report
Cognitiveneuroscience of reward prediction and empathy in developmental disorders
Project/Area Number |
17K10073
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
相原 正男 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (30242639)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 社会脳 / 前頭葉 / 共感 / 認知神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会脳の発達は、自己像認知から、自他身体弁別、視線・意図認知、他者の心を読み、共感へと進展していく。共感の神経ネットワークは、社会脳(前頭葉)ニューロンネットワークと重なるため、共感に関する3つのニューロンネットワークを研究対象とした。 特に、前頭葉の認知情動系を賦活する神経心理学的課題(モラル・報酬予測・文脈更新課題)を遂行中に被験者2名の生体内で生ずる内部信号を、神経生理学的手法(認知機能は事象関連電位や近赤外線スペクトロスコピー、情動性自律反応には交感神経皮膚反応、瞳孔反応)で同時記録した。 1)エモーショナルネットワークを金村、大山、佐野、相原が担当して、2人の被験者の脳波周波数を測定し、被験者の情動反応を生理学的に解析した。不快情動で右前頭葉の活性化(β波パワーの増大)が脳波周波数解析で判明した。前頭葉β波の非対称指数の検討から、他者の損得に対する情動(共感)変化の定量化が可能となった。 2)ミラーニューロンネットワークを青柳、石井、後藤、、大山、相原、木島(教育人間科学域)らが担当した。二者協応と三者協応との仕組みが質的に異なる可能性が明らかとなった。さらに、アスペルガー患者と健常者との動作協応実験を施行し、自発的な協応動作の障害が判明した. 3)メンタラジングネットワークである心の痛みや対人認識を金村、相原、小畑(教育人間科学域)らが担当し、山梨大学附属病院神経外来の発達障害児を対象に検討した。「痛み」に関する表現を4歳~6歳の定型発達児32名、3歳~11歳の知的障害を伴わないASD・ADHD12名を比較し、形容詞のレパートリーが少ないこと、痛みへの具体的対処を示す動詞が見られないこと、及び「痛み」感覚の保護者との共有が乏しいことを見出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究概要でも記したように3グループとも当初の研究計画が順調に達成し、学会発表や論文作成に至っている。 1)エモーショナルネットワークを金村、大山、佐野、相原が担当して、2人の被験者の脳波周波数を測定し、被験者の情動反応を生理学的に解析した。不快情動で右前頭葉の活性化(β波パワーの増大)が脳波周波数解析で判明した。前頭葉β波の非対称指数の検討から、他者の損得に対する情動(共感)変化の定量化が可能となった。 2)ミラーニューロンネットワークを青柳、石井、後藤、大山、相原、木島(教育人間科学域)らが担当した。二者協応と三者協応との仕組みが質的に異なる可能性が明らかとなった。さらに、アスペルガー患者と健常者との動作協応実験を施行し、自発的な協応動作の障害が判明した. 3)メンタラジングネットワークである心の痛みや対人認識を金村、相原、小畑(教育人間科学域)らが担当し、山梨大学附属病院神経外来の発達障害児を対象に検討した。「痛み」に関する表現を4歳~6歳の定型発達児32名、3歳~11歳の知的障害を伴わないASD・ADHD12名を比較し、形容詞のレパートリーが少ないこと、痛みへの具体的対処を示す動詞が見られないこと、及び「痛み」感覚の保護者との共有が乏しいことを見出している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)ミラーニューロンネットワークに関しては、身体化された社会性に関する基礎データから、脳内基盤を脳波推定源解析(高密度センサー脳波計測システム)することでミラーニューロンの関与を証明する。さらに自閉症スペクトラム障害児者を対象に解析して、身体教育現場や発達障害児のリハビリテーションに臨床応用していく。 2)エモーショナルネットワークに関しては、2人の被験者の脳波周波数解析と情動性自律反応を2台の生体計測装置(Polymate Mini)に同時入力して、被験者間の生体内信号を同期化現象として解析することで共感の定量化を行ってきた。今後は、自閉症スペクトラム障害の診断・治療効果に関するバイオマーカーとして提案する。 3)メンタラジングネットワークに関しては、心の痛みの概念発達と臨界期が明らかになってきた。この研究成果を、今後は、発達障害児とくに自閉症スペクトラム障害児に応用し、心の痛みと人認知の関係を明らかにする。この成果は特別支援教育の開始年齢と教材開発を科学的に提案する根拠となる。
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Research Products
(7 results)