2018 Fiscal Year Research-status Report
新たな成長障害―GH-IGFシグナル蛋白遺伝子異常症の病態解明
Project/Area Number |
17K10078
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
鞁嶋 有紀 鳥取大学, 医学部, 講師 (20403412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伯野 史彦 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (30282700)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 成長障害 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】成長ホルモン(GH)とインスリン様成長因子[insulin-like growth factor(IGF)]は成長に関わっている最も重要な成長因子である。私達は原因不明の低身長患者を対象に、次世代シークエンサーを用いたGH-IGF系シグナル関連蛋白のエクソーム解析研究を行い、これまで明らかにされていなかった成長障害の病態解明を行う。【対象】GH分泌低下の見られない原因不明の成長障害患者と、IGF1R(IGF1受容体)遺伝子異常が疑われ、診断目的で遺伝子解析を行い異常が認められなかった成長患者【方法】MiSeqにて TruSightOneシーケンスパネルを用いてデータを取得する。この中からGH-IGF系経路関連蛋白遺伝子のデータを取りだし、変異の有無を確認する。見出された変異を機能予測ソフト、データベースを用いて、機能予測で、中等度の機能低下がみられる1%未満の希少変異について検討した。【結果】平成30年度は12人の対象者に解析を行った。2例は、平成28年度に同定したIRS1変異(p.Ser685_Ser686del)の対象者の同一家系内であり、同様のIRS1変異を認めた。兄弟2例に新規のIGF1Rのヘテロ変異(p.Tyr 888 X)を同定し、成長障害の原因遺伝子と考えられた。またIRS1変異を同定した対象者の一人から同意を得て、繊維芽細胞を採取し、有意な増殖能の低下を認めた。また、IRS1変異の認めた対象者に対し、他の成長障害関連因子の遺伝子解析を同様のシークエンスパネルで確認したが、IRS1変異以外は明らかな病的変異は認めなかった。【考察】本研究で同定した、IRS変異は成長障害の原因となることがより明らかになった。また、新規のIGF1R変異も同定し、GH-IGF系経路関連蛋白遺伝子による成長障害は比較的稀とされているが、一定の割合では存在すると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に比較し、対象者が12例と多く解析をすることができた。また変異が同定された対象者の繊維芽細胞を用いて、研究協力者伯野先生により、機能解析を行い、患者の繊維芽細胞にて、増殖能の低下を認め、現在IRS1の蛋白量、シグナル伝達について解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
対象者を集め、解析を引き続き行う。また同定したIRS変異については、樹立した対象者からの繊維芽細胞を用いて、IRS1チロシンリン酸化などをみて、シグナル伝達についての解析を行う。IRS1変異を同定した家系について、新たな機能解析結果をまとめ、論文投稿を行う予定である。 また、解析を終了し、変異が同定されなかった対象のうち、IGF1高値を認め、GH-IGF1系シグナル関連蛋白の遺伝子異常を認めなかった症例について、IGF1Rのプロモーター領域のメチル化解析を行い、新たな成長障害の病態の解明を行う予定である。
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Causes of Carryover |
前年度研究代表者の産休、育休のため、研究が遂行できず、前年度の繰り越し金が生じていた。当該年度は、研究が前年度より遂行できたが、育休復帰後であったため、当初予定していたよりは実験の遂行状況は遅れていたが、次年度は、さらに加速し研究を遂行する予定である。
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