2017 Fiscal Year Research-status Report
mTORC1を標的とするX連鎖性低リン血症性くる病に対する新たな治療戦略の構築
Project/Area Number |
17K10092
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Research Institution | Osama Woman's and Children's Hospital |
Principal Investigator |
川井 正信 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), 環境影響部門, 主任研究員 (50598117)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | X連鎖性低リンくる病 / FGF23 / PTEN |
Outline of Annual Research Achievements |
低リン血症は、くる病の原因となる。X連鎖性低リン血症性くる病では、低リン血症とともにくる病病変をきたすが、その病態には不明な点が多い。以前の検討から、リンシグナルはPTENの発現を抑制することを報告しているため、X連鎖性低リン血症性くる病のモデルマウスであるHypマウスを用いて、PTENの発現制御に注目し、病態解明のための解析を行った。まず最初に、Hypマウスの成長軟骨帯におけるPTENの発現を検討したところ、野生型マウスでは増殖軟骨層から前肥大化軟骨にかけてPTENの発現を認めたが、Hypマウスでは増殖軟骨層から肥大化軟骨層にかけてPTENの発現を認めた。この結果から、Hypマウスでは肥大化軟骨細胞におけるPTENの発現が増加していることが判明した。次に、骨芽細胞および骨細胞におけるPTENの発現を検討した。野生型マウスに比べ、Hypマウスでは、骨細胞におけるPTENの発現が増加していた。そこで、HypマウスにおけるPTEN上昇の役割を検討するために、組織特異的PTEN欠損マウスを作出し、Hypと交配し、ダブル変異マウスを作出し、HypマウスにおけるPTENの役割の検討を行うこととした。まず、骨細胞における役割を検討するために、Hypマウスと骨細胞特異的PTEN欠損マウスの交配を開始している。また、骨細胞特異的PTEN欠損マウスの解析も併せて行った。骨細胞特異的PTEN欠損マウスでは、血中リン濃度が上昇し、FGF23濃度が低下していた。以上から、骨細胞においてPTENはFGF23の発現制御を担っていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨細胞特異的PTEN欠損マウスの解析もHypマウスとの交配が順調にすすんでいるため
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Strategy for Future Research Activity |
Dmp1-PTEN-KOマウスの検討から、PTENの欠損によりFGF23の発現が減少することが示唆されている。そこで、この作用がmTORC1の活性化を介したものなのかin vitroで検討を行う。内在性にFGF23を発現しているUMR106細胞を用いる。予備実験からUMR106細胞でPTENの発現をノックダウンするとFGF23の発現がRNAレベルで著減することを見出している。この現象におけるmTORC1シグナルの役割を解析するために、PTENノックダウン細胞におけるmTORC1の活性亢進をラパマイシンで阻害し、FGF23の発現の変化を確認する。逆に、PTENの強制発現によるmTORC1の活性抑制によるFGF23の発現変化を確認する。さらに、in vivoでの治療研究に向けてPTEN強制発現系におけるFGF23の発現変化が、分岐鎖アミン酸によるmTORC1活性化によりレスキューされるか確認を行う。
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Causes of Carryover |
分子生物学的解析の施行が予定より遅れたため、支出が減少したため。
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