2017 Fiscal Year Research-status Report
小児がん等に対する陽子線治療における有害事象と放射線感受性遺伝子との関連解析
Project/Area Number |
17K10096
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中尾 朋平 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (20554885)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小児がん / 陽子線治療 / 有害事象 / 放射線感受性遺伝子 / 遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児がんに対する治療として、陽子線治療を受けた症例を対象に放射線感受性遺伝子を検索する臨床試験を計画し施設倫理委員会に提出した。次世代シーケンサを用いた候補遺伝子検索のシステムを立ち上げた。 研究期間内に晩期有害事象の発生状況と放射線感受性遺伝子の関連について解析することは困難であると考え、陽子線治療による起こりうると考えられる急性期有害事象として、特に皮膚・粘膜障害に焦点をあて、既報研究のうち、放射線治療と皮膚・粘膜障害と放射線感受性遺伝子との関連が報告されている遺伝子群のエクソン領域を次世代シーケンサを用いて解析するシステムを構築した。 並行して、小児がんに対する治療として、陽子線治療を受けた症例の臨床情報(病理組織診断、生存期間、無再発生存期間、急性期有害事象、晩期有害事象、陽子線治療照射部位、陽子線治療照射線量、二次がん発生の有無)について収集し、照射部位・照射線量・併用治療の有無(外科療法や抗腫瘍剤治療)・年齢区分・がん種・併存症の有無・初発/再発症例別に解析を行った。 頭頚部に陽子線治療を受けた60例の小児ケースを対象とした有害事象および生活の質(quality of life; QOL)を解析し、論文として公表した( Pediatr Int. 2017 ;59:1039-1045. doi: 10.1111/ped.13323)。また、化学療法や手術と並行して陽子線治療を受けたケースについては第59回日本小児血液・がん学会で公表した。 さらに、晩期有害事象および二次がん発生率の関連解析を実現化するために、陽子線治療終了後も継続して追跡調査を行うことができる臨床試験を計画・立案し、施設倫理委員会への申請を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
候補遺伝子の検索・解析システムの立ち上げおよび実施と、対象症例の臨床情報収集を並行して行っており、一部をすでに学会発表/論文として報告できている。具体的には、陽子線治療を受けた小児がん症例を、照射部位やがん種別に分類し、論文化して発表(H. Fukushima, T. Fukushima, R. Suzuki, A. Iwabuchi, K. Hidaka, T. Shinkai, K. Masumoto, A. Muroi, T. Yamamoto, T. Nakao, et al:Comorbidity and quality of life in childhood cancer survivors treated with proton beam therapy. Pediatr Int. Vol. 59, 1039-1045, 2017)あるいは学会にて発表(穂坂翔、中尾朋平ら、初発神経芽腫に対する集学的治療中に陽子線治療目的で当院へ移動した症例の安全性の検討、第59回日本小児血液・がん学会学術集会、2017;稲葉正子、中尾朋平ら、頭蓋内進展を伴う頭頚部腫瘍に対し緊急陽子線治療併用化学療法を行った4例の検討、第59回日本小児血液・がん学会学術集会、2017)した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中の臨床情報の収集に加え、放射線感受性遺伝子の検索を臨床試験として継続していく。 本研究の研究期間内に晩期有害事象を評価することは困難であるため、まずは急性期有害事象および亜急性期の合併症に焦点をあて、放射線感受性遺伝子の検索結果との関連について評価・解析を進めていく予定である。 学会発表や論文化に際しては、解析をしやすくするために、照射部位、照射線量、がん種、症例の年齢区分など、これまでの発表のように対象症例の属性別に解析を進めていく予定であり、現在、論文を投稿中および投稿準備中である。 さらに、長期生存者の生活の質(quality of life)や晩期有害事象の解析を対象とした臨床試験を計画中である。
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Causes of Carryover |
小児がんは希少疾患であり、症例の集積が予定よりも少数であったため、予定数よりも解析が進まなかったことから、次年度も継続して症例の集積にあたる予定とした。
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[Journal Article] Comorbidity and quality of life in childhood cancer survivors treated with proton beam therapy.2017
Author(s)
Fukushima H, Fukushima T, Suzuki R, Iwabuchi A, Hidaka K, Shinkai T, Masumoto K, Muroi A, Yamamoto T, Nakao T, Oshiro Y, Mizumoto M, Sakurai H, Sumazaki R
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Journal Title
Pediatrics International
Volume: 59
Pages: 1039-1045
DOI
Peer Reviewed
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