2018 Fiscal Year Research-status Report
ナノ粒子を用いた分化誘導療法による新たな神経芽腫治療法の開発
Project/Area Number |
17K10102
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
鈴木 孝二 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (10397268)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大嶋 勇成 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (40303391)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 神経芽腫 / 分化誘導療法 / レチノイン酸 / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
All-trans-retinoic acid(ATRA)は神経芽腫がん細胞を神経細胞へと分化誘導する特性を持つ。本研究は、ATRAを抱合させたナノ粒子をマウスに投与することで腫瘍局所に高濃度のATRAを輸送するドラッグデリバリーシステムの開発を目指した。 まず神経芽腫がん細胞株としてヒト由来のSK-N-SH細胞とマウス由来のNb2a細胞を培養し、ATRAと共培養することにより態学的な分化(神経突起伸長)と分子学的な分化(Neurofilament-M蛋白の発現)の誘導をin vitro実験で確認した。in vitro実験において、ATRA、ATRA抱合ナノ粒子、ATRA非抱合ナノ粒子、無治療の4群間で増殖抑制効果を比較したところ、ATRAおよびATRA抱合ナノ粒子は類似した増殖抑制効果を示した。in vivo実験では、免疫不全マウスにSK-N-SH細胞を接種したが、腫瘍の発育が遅く、発生した腫瘍の大きさにばらつきがあり安定した担がんマウスを作成することは困難だったため神経芽腫がん細胞株をマウス由来のNB2aとして同系マウスに皮下投与し担がんマウスを作成することができた。今後はATRA、ATRA抱合ナノ粒子をNB2a担がんマウスへ静注し、それぞれにおける抗腫瘍効果について検討する。現在、in vivoでの実験を進めるうえで必要なATRAナノ粒子を準備している。また、ナノ粒子包埋ATRAの投与量や投与方法などについては、マウスを用いたin vivoでの実験を開始する前に過去文献や学会などで最新の治験を集め計画を作成中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vitroでの実験を進めることができたが、in vivoでの実験を開始するにあたって、担がんマウスを作成する際に、既報告に基づいて細胞株とマウスを準備して行ったが、腫瘍を形成することができなかった。そのため、他の細胞株を入手し、in vitroの研究を再度行ったうえで、同系マウスを購入し、適切な投与細胞数を確認した。最終的には、NB2a担がんマウスを作成することができたため、今後のin vivoの実験を進める準備が整った。このような経緯から、予定よりも研究計画が遅れてしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はNB2a担がんマウスに対して、ATRAの投与を行い、ナノ粒子の包埋の有無により抗腫瘍効果に差がでるかどうかを検討していく。ただし、抗腫瘍効果を評価するうえで最も良い投与量や投与の日程など方法を確認するために、まずは、少数のマウスを用いて予備実験を先行させ、そのうえで最適な投与法に目途がついた時点で使用するマウスを増やした実験に進む予定である。
|
Causes of Carryover |
研究費支出の最も多いと思われるin vivoでの研究が昨年度は、研究が進捗できなかったことにより予備実験までしか開始できなかった。現在、マウスへの腫瘍作成ができたことから、細胞調整やナノ粒子の作成などがこれまで以上に必要となる見通しであり、これらの予備実験を含めて、in vivoの実験遂行のために研究費を使用する計画である。
|