2017 Fiscal Year Research-status Report
小児白血病治療を目指したGM-CSF受容体特異的キメラ抗原受容体T細胞の最適化
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17K10103
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中野 茂 信州大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (30791313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中沢 洋三 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (60397312)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | CAR-T / GM-CSF / 骨髄性白血病 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 骨髄性腫瘍を標的としたGM-CSF受容体特異的キメラ抗原受容体T細胞(GMR CAR-T)の最適化を目的に,腫瘍細胞殺傷と同時に分泌されるサイトカインの放出を抑えるようなshRNAを搭載した遺伝子改変ベクターの構築を行った。本ベクターを健康成人末梢血単核細胞にエレクトロポレーションによって導入し,培養して作製される改変型GMR CAR-Tは,従来の野生型(shRNA搭載なし)と比較して,腫瘍細胞への殺傷効果に優れることを確認した。 2) GMR CAR-TのGM-CSF受容体に対する選択性を評価する目的で,慢性骨髄性白血病細胞株K562にGMRαまたはGMRβを単独に発現する安定発現株の取得を試みた。GMRαまたはGMRβそれぞれのトランスポゾンベクターの構築を完了させ,K562に遺伝子導入し,磁気細胞分離法にてGMRα単独またはGMRβ単独の安定発現株を取得した。 3) GMR CAR-Tのin vivoにおける効果を確認するため,急性骨髄性白血病細胞株THP-1とその陰性対照としてK562を選択し,in vivoイメージングにより抗腫瘍効果を判定するために,両腫瘍細胞のルシフェラーゼ発現株を準備した。eGFPとルシフェラーゼを安定的に発現するためのトランスポゾンベクターの構築を行い,構築が完了した。さらに,それぞれのベクターをエレクトロポレーションによって両細胞株に遺伝子導入し,磁気細胞分離法にてeGFP・ルシフェラーゼ発現K562細胞の取得に成功した。THP-1については遺伝子導入条件のさらなる最適化が必要であり,作製を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1) 従来型CAR-Tと比較して抗腫瘍細胞活性が優れた改変型CAR-Tの創製に成功した。 2) 予定していていたGMR CAR-Tの受容体選択性評価のツールとしてのベクター構築,GMRα単独またはGMRβ単独のK562安定発現株を取得できた。 3) In vivo試験に使用する,ルシフェラーゼ発現細胞株の取得が予定通り進捗した。 上記理由に基づき,順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 今回創製できた改変型CAR-Tを足掛かりに,さらに多角的なアプローチでベクターの改変を継続的に推進し,従来型からのさらなる優位性と安全性を担保できる最終型のベクターを選定する検討を継続する。 2) 作製が完了したGMRα単独またはGMRβ単独の発現株に対するGMR CAR-Tの効果を検証し,受容体選択性についての考察を行う。 3) ルシフェラーゼ発現THP-1細胞の取得に関する検討を引き続き継続し,作製ができた場合は,免疫不全マウスへ投与し,細胞のマウスへの生着,in vivoイメージングの予備試験へと移行し,最終的にはGMR CAR-Tのin vivoでの効果を確認したい。
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Causes of Carryover |
予定していたベクターの構築が順調に進み,必要最小限の試薬類の購入で賄うことができた。次期は,動物試験等も予定しており,予備検討を含めて動物購入費が増加すると予定される。さらに,必要となる試薬類も定期的に購入することとなる。
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