2019 Fiscal Year Research-status Report
ダウン症造血異常の責任遺伝子同定を目指した疾患iPS細胞ライブラリーの樹立
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17K10108
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒堀 仁美 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40379186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北畠 康司 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (80506494)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ダウン症候群 / iPS細胞 / ゲノム編集技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダウン症候群では21番染色体上にコードされる遺伝子の量効果(gene dosage effects)によってさまざまな合併症が引き起こされる。しかし病態責任遺伝子がどこにあるのかは分からない。そこで本研究においては、ゲノム編集技術をもちいて、ヒトXIST遺伝子をテトラサイクリン誘導システム下に制御することのできる21トリソミー部分不活化iPS細胞ライブラリーの樹立を目指す。この方法は以下の通りとなる。 昨年度までにヒトiPS細胞に導入するためのXISTベクターの作成と、Tet制御システムをもちいたすべてのコンストラクトを作製し、さらにCRISPR/Cas9 による相同組換えを利用し、それらをiPS細胞へと導入した。すべての目的のiPS細胞を樹立することができ、さらに核型解析を行い、これらの核型に異常が生じていないことも確認した。 本年度は、このiPS細胞をもちいて、XISTの発現が起きているかどうか、実際に遺伝子発現の抑制が起きたかどうかについて解析を行った。まずRNA-FISHにより、XIST mRNAの発現がたしかに起きていることを確認することができた。つぎにH3K27me3の免疫染色を行い、Doxycycline依存性にH3K27me3陽性細胞が増加し、ほぼ90%の陽性率で発現することを確認した。さらにH3K27me3に対するChIP-seqを行うことで、Doxycycline依存性にこれらのヒストンマークが増加することを確認することができた。最後にRNA-seqをもちいて遺伝子発現解析を行い、たしかにXISTによる遺伝子発現抑制が起きていることを確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究についてはほぼ想定通り進み、XISTによるiPS細胞の解析という点では想定を越えて進めることができた。しかし一方で、アストロサイトへの分化誘導に時間がかかり、これについては来年度に繰り越して研究を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
アストロサイトへの分化誘導を行い、その細胞においてXISTが発現し、遺伝子発現抑制を起こすことを証明する。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画に則り責任遺伝子同定を行うためのXIST-iPS細胞を確立することができたが、その精度についてより深く解析するために分化誘導を行い評価を行う必要ができた。また学会発表・論文投稿を行うため事業期間の延長が必要となった。
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