2018 Fiscal Year Research-status Report
皮膚マイクロバイオームの変動とアトピー性皮膚炎との関連性の解明
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17K10116
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
藤枝 幹也 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (60209020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋田 裕美子 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (00767999)
大畑 雅典 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (50263976)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / ウイルス / 細菌 / 微生物 / 感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
人体のさまざまな部位には微生物叢(マイクロバイオーム)があり、疾患との関わりが注目されている。微生物叢は皮膚にも存在するが、皮膚マイクロバイオームの生態や、それらがどのような疾患に、どのような微生物が、どのように関与しているのかは十分に明らかにされていない。 アトピー性皮膚炎の患者では健常人ではみられない黄色ブドウ球菌の生着が認められることはよく知られている。これまでの報告では得られた検体を培養に供しコロニー形成により解析した結果が多く、細菌のゲノムを直接検出し量的な変動を解析したデータは乏しい。そこで本年度は小児のアトピー性皮膚炎患児における黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌の量的解析を行なった。 アトピー性皮膚炎患児(1歳~10歳:計14症例)の皮疹部と非皮疹部の双方をPBSに浸した綿棒で擦り、この皮膚スワブからDNAを採取した。対照は年齢をマッチさせた健常児皮膚とした。定量的リアルタイムPCR法で黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌のゲノムコピー数を測定した(コピー/ng DNA)。ここでは各細菌の特異的遺伝子(黄色ブドウ球菌:nuc、表皮ブドウ球菌)を標的にして量的解析を行なった。その結果、健常皮膚と比較して、アトピー性皮膚炎患児では皮疹部と非皮疹部ともに有意に黄色ブドウ球菌の量は増加していた(P < 0.05)。皮疹部と非皮疹部の間には有意差は認められなかった(P = 0.142)。一方、表皮ブドウ球菌の量に関しては、患児(皮疹部と非皮疹部)と対照の間には有意差は認められなかった。これらの結果はこれまでの培養を基にした解析結果を裏付けるものである。皮疹部と非皮疹部ともに黄色ブドウ球菌量が増加していたことから、アトピー性皮膚炎は全身的な炎症性疾患であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度行なった研究により、小児アトピー性皮膚炎患児の皮膚における、これまで乏しかった黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌の量的解析データを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は小児発症のアトピー性皮膚炎の皮疹部および非皮疹部の双方において、細菌種に加えて、皮膚常在ウイルス群がどのように変動しているかを解析する予定である。
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Causes of Carryover |
試薬を中心に物品費の支出を必要最低限に抑えて予算を執行したため、若干の繰越金が発生した。 次年度も引き続き遺伝子検出関連試薬、蛋白発現解析用試薬、プラスティック器具、細胞培養関連試薬などの物品費を中心に予算を計上する。また必要に応じ備品購入に充てる。
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Research Products
(7 results)