2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of chemo-resistant mechanism through DCK promotor demethylation and establishment of its prevention
Project/Area Number |
17K10117
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
岡本 康裕 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (30398002)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ネララビン / 急性リンパ芽球性白血病 / 耐性 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
ネララビンは、T細胞性急性リンパ芽球性白血病およびリンパ腫に対して系統特異的な細胞毒性を示すプリンヌクレオシド類似体である。ネララビン治療における大きな問題の一つは薬剤耐性である。ヌクレオシド類似体に対する耐性の機序としては、薬物代謝、アポトーシスの阻害およびシグナル伝達経路の調節異常に関連した複数の経路を明らかにした。ヒトT細胞リンパ芽球性白血病細胞株であるCCRF-CEMを用いて、ネララビン耐性サブクローンを確立した。次に、ネララビン代謝に関連する遺伝子およびタンパク質の発現、細胞毒性、ならびにアポトーシスの誘導を調べて、ネララビン耐性に関連する因子を解明した。CCRF-CEM由来の2つの耐性サブクローンクローン1およびクローン2を、ネララビン158.8μMおよび212.7μMのIC50で確立した。これらは、天然のCCRF-CEMよりも47倍および63倍の高濃度のネララビンであった。耐性サブクローンは、ENT1、DCK、およびdGuoKを含む代謝関連遺伝子が抑制されていた。ENT1の抑制(p = 0.002)は細胞内へのネララビンの取り込みの減少を示唆し、DCK発現の減少(p = 0.006)およびdGuoK(p = 0.02)はAra-GからAra-GTPへのリン酸化の障害を示唆する。我々はまた、耐性サブクローンのネララビン処理後のカスパーゼ3/7活性の抑制によって示されるアポトーシス抑制を見出した。ネララビン処理後のp-Aktの時間依存的な過剰発現は、耐性クローンの生存促進シグナルとしてPI3K/AKTシグナル伝達経路の活性化を示唆した。これらのことから、我々はネララビン耐性CCRF-CEMサブクローンにおける耐性のメカニズムとして代謝関連遺伝子の抑制およびアポトーシスの阻害であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、耐性株を樹立し、その耐性の機序を解明した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確認できた耐性機序の分子遺伝的な異常を探究する必要がある。また、これらの異常を救済できるかどうかを確認する必要がある。
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