2017 Fiscal Year Research-status Report
横紋筋肉腫におけるRAS変異に基づいたプレシジョン医療開発のための基礎的検討
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17K10123
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
菊地 顕 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (40453104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳生 茂希 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10572547)
細井 創 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20238744)
家原 知子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20285266)
宮地 充 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40584983)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 横紋筋肉腫 / RAS / プレシジョン医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
横紋筋肉腫(RMS)は、近年の集学的治療の進歩により約80%の長期生存が望めるようになったが、治療の合併症による性腺機能不全や恒常的な臓器機能欠損が深刻な問題となっており、副作用の少ない特異的な治療の開発が望まれている。プレシジョン医療とは、患者の個人差を考慮し、遺伝子診断などによって得られた遺伝子情報に基づきその患者に有効と考えられる特異的で副作用の少ない治療法を設定する医療であり、近年日本でも積極的に議論されるようになってきた。一方、小児がんの分野では、その腫瘍遺伝的バックグランドの多様性から、本来プレシジョン医療の適応があると考えられるが、いまだ十分に検討が行われているとはいえない。本研究ではRAS変異に基づいたプレシジョン医療開発のための基礎的検討を行うことを目的としている。具体的には 1.横紋筋肉腫細胞株を使い、RAS変異の有無での各種RAS-RAF-MEK阻害剤の効果の違い、分子生物学的変化の違いをin vitro, in vivoで確認する。 2. 迅速簡便なRAS-RAF変異の検索方法の確立のため、患者血漿遊離DNAを用いたデジタルPCRでの検出法を確立する。 今年度は、1について、当研究室にあるRMS細胞株13種類のRAS-RAF経路変異を確認し、変異の有無とRAF-MEK阻害剤感受性を確認した。当初の予想通りRMS細胞株においてRAS-RAF変異とRAF-MEK阻害剤の関連が確認できた。さらにその増殖抑制効果がp21を介したG1 arrestであることをWestern blotting、細胞周期解析、アポトーシス解析で確認した。また、RMS細胞株1つにおいて、マウス同所性移植モデルを作成し、In vivoでの効果も確認できた。2については、細胞株由来DNAを用いたデジタルPCR検出法のプライマー、プローブの調節中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画1:RAS-RAF変異のある横紋筋肉腫細胞株を使い、各種RAS-RAF-MEK阻害剤の効果、分子生物学的検討をin vitro, in vivoで行う。現在のところ順調に行うことができている。 研究計画2:RAS-RAF変異のある横紋筋肉腫細胞株上清を使い、デジタルPCRでRAS-RAF変異の検出法を検討する。現在のところ細胞株DNAを用いた検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、予定通りRAS-RAF変異の有無とRAF-MEK阻害剤の感受性に相関が認められている。今後さらに細胞株を増やすことで否定的な結果が出た場合、変異以外のマーカーを検討することになる。ERKのリン酸化の程度が感受性に関与している可能性があるので、その程度をウエスタンブロット、免疫染色で比較する(In vitro, In vivoともに)。また、In vivoモデルにおいてもRAF-MEK阻害剤の効果が確認できているが、さらに細胞株を増やし検討を進めていく。 RAF-MEK阻害剤の臨床応用のためには、迅速で簡便なRAS-RAF変異の検出法の確立が重要である。我々はすでに他がん種において、遺伝子異常をデジタルPCRで検出できることを確認している。まず種々の横紋筋肉腫細胞株およびその上清を用い、デジタルPCRでのRAS-RAF変異検出法の検討を続けていく。 実験手技としては新規のものはなく、我々実験室でも日々試行しているものばかりなので問題が発生するとは考えられない。
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Research Products
(1 results)