2017 Fiscal Year Research-status Report
APCおよびPSによる第VIII因子制御機構の解明および新規血友病製剤への応用
Project/Area Number |
17K10125
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
武山 雅博 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (30572010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野上 恵嗣 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50326328)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 第VIII因子 / プロテインS / 血液凝固 / 活性型プロテインC / 抗凝固 |
Outline of Annual Research Achievements |
凝固第VIII因子(FVIII)は凝固反応において必須であり、欠乏により血友病Aを起こす。治療に用いるFVIII製剤は半減期が短く頻回な投与が必要である。一方、FVIIIは活性型プロテインC (APC)及びプロテインS (PS) により不活化されるが、その不活化機序は完全には解明されていない。本研究ではFVIIIとAPC/PSの結合部位を同定し不活化機序の解明を行うことを目標としており、平成29年度は以下の3つの研究を進める予定であった。① FVIII重鎖上のAPC結合部位の同定、②FVIII重鎖および軽鎖上のPS結合部位のアミノ酸配列を変異させたFVIIIの作成、③FVIII重鎖および軽鎖上のAPC結合部位のアミノ酸配列を変異させたFVIIIの作製。①については、これまでの研究で、FVIII A2ドメインのアミノ酸残基400-429がAPC結合部位である可能性を想定していた。そこで、ELISAにてDEGR-APCとFVIII A2の結合が、400-409, 409-420および420-429の各ペプチドにより抑制されるかを検討したが、いずれのペプチドも抑制しなかった。②についてはFVIII A2ドメインアミノ酸残基488~490およびC2ドメインアミノ酸残基2239をアラニンに変異させたFVIIIをBHKを用いて発現し、変異FVIII蛋白を精製分離することに成功した。③については、①の検討でFVIII重鎖上のAPCの結合部位の同定が現状では困難な状態であり、検討はすすんでいない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では上記に示したように3つの研究を進める予定であった:① FVIII重鎖上のAPC結合部位の同定、②FVIII重鎖および軽鎖上のPS結合部位のアミノ酸配列を変異させたFVIIIの作成、③FVIII重鎖および軽鎖上のAPC結合部位のアミノ酸配列を変異させたFVIIIの作製。①についてはペプチドを用いたELISAによる検討では、FVIII重鎖上のAPC結合部位は、当初想定していた部位にはない可能性が浮上した。実験手法により結果が出なかった可能性も考えられ、今後は表面plasmon共鳴法などを用いた他の結合実験を考慮し、さらに検討を進める。②についてはFVIII A2ドメインアミノ酸残基488~490およびC2ドメインアミノ酸残基2239をアラニンに変異させたFVIIIをBHKを用いて発現し、変異FVIII蛋白を精製分離することに成功し、当初の予定通り研究は進んでいると思われる。③については、まずFVIII上のAPC結合部位を同定することが必要であるため、研究が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
①について:FVIII重鎖上のAPC結合部位の同定は、他の手法を用いてさらに検討を続けたいと考えている。もしFVIII重鎖上のAPC結合部位の同定が困難であった場合は、すでにFVIII軽鎖上のAPC結合部位は同定できているため、同部位のアミノ酸をアラニンに変異させたものを作成する予定である。 ②について:目的としたPS結合部位を変異させたFVIIIを作成に成功したため、本変異FVIIIを用いてFVIII不活化の機序の解明を進める。 ③について:FVIII重鎖上のAPC結合部位の同定に成功すれば、その結果を元に変異FVIIIを作成する。
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Research Products
(1 results)