2017 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム・エピゲノム解析による難治性神経芽腫の病態理解とリスク分類法・治療法の開発
Project/Area Number |
17K10131
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
大平 美紀 埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 臨床腫瘍研究所, 主幹研究員 (20311384)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神経芽腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多様な臨床像を示す各サブセットの神経芽腫について最適な治療戦略を構築するため、神経芽腫組織の網羅的ゲノム・エピゲノムデータのメタオミックス解析を行い、悪性サブタイプに強く関連する分子的特徴を明らかにすることを目的としている。 平成29年度は、解析対象とした症例群の臨床情報を収集・更新し、各リスクマーカー候補の検証の基礎データを整備した。高リスク神経芽腫臨床試験に登録された45例の臨床経過情報の収集と、44Kゲノムコピー数、60K遺伝子発現データ、ターゲットシークエンスによる遺伝子変異データ、メチロームデータの取得を中心に進めた。高リスクに相関する遺伝子変異はALK 11%(5例)、ATRX 7%(3例)、MYCN、ARID1A各1例ずつであり、ARID1A変異以外は全てこれらの変異は相互排他的なパターンであった。また、テロメラーゼ高発現群は41%(29例中12例)であり、従来の報告通りMYCN増幅群に集中していた。メチロームデータから取得したCpG island methylator phenotypeのマーカーであるprotocadherinβ遺伝子のメチル化レベルは93%で高く、低い症例は全て長期生存例であった。MCYN非増幅群27例における予後不良ゲノム因子としては、上記のMYCN、ATRX変異に加え、1pと11qの両方の欠失例と12q増幅、chromothripsis様のゲノム異常、そして1q、12qのgainが高頻度に見られることが明らかになった。これらの因子が新たなリスク分類マーカーとなりうるかを今後多検体症例、並びに再発例について検証を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析対象症例の臨床情報を更新し、各リスクマーカー候補の検証の準備を進めた。44Kゲノムコピー数、60K遺伝子発現データ、全エクソーム解析(WES)による遺伝子変異データ、450Kメチロームデータのメタオミックス解析を実施するためのデータクリーニングをほぼ完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
全生存期間に加え、再発についての情報を追加することにより、予後関連解析の準備が整った。今後多角的な群分けに基づく解析を行い、リスク分類に有用なエピゲノムマーカー、メチル化レベルと遺伝子発現が相関する遺伝子、候補遺伝子群の抽出を進める。
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Causes of Carryover |
エピゲノム解析を外注する予定で計上していたが、共同研究として安価にて実施することができたため物品費に余裕が生じたため。これらは次年度検体数を増やして解析を加える計画である。さらに平成30年度に神経芽腫・小児がん関連の国際学会が例年より多く開催されることとなったことから、次年度に学会参加費用としても使用を予定している。
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Research Products
(12 results)