2017 Fiscal Year Research-status Report
The molecular pathogenenesis of pediatric acute lymphoblastic leukemia through the understanding of clonal artitectures
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17K10136
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Research Institution | National Hospital Organization Nagoya Medical Center |
Principal Investigator |
真田 昌 独立行政法人国立病院機構(名古屋医療センター臨床研究センター), その他部局等, 高度診断研究部長 (20529044)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 急性リンパ性白血病 / クローン評価 / 遺伝子再構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性リンパ性白血病(ALL)の診療において、腫瘍細胞特異的な免疫グロブリン(Ig)・T 細胞受容体(TCR)遺伝子の再構成の定量評価に基づく、微小残存病変(MRD)の経時的な評価は、個々の患者の実際の治療反応性を直接的に反映する、臨床上、最も有用性の高い検査指標となっている。しかし、現在、標準的に行われているPCR-MRDにおいて、腫瘍細胞特異的な再構成の同定の過程は非常に煩雑である。また、近年、腫瘍クローンの多様性の存在が広く知られ、実際に同定された再構成を有している腫瘍細胞の比率が解釈上は重要であると推測されるが、これまで評価することが困難であった。そこで、Ig/TCR再構成を指標にしたクローン構造を網羅的かつ正確に理解するために、NGS を活用した評価系の構築を行った。現行のPCR-MRD において標準的に用いられているBIOMED2 のプライマーセットによるmultiplex PCR産物をIllumina 社のNGS によるsequencing を行うことにより、従来法で検出された再構成を同定可能であったが、PCR増幅効率の影響が大きく、クローン構造の正確な評価は困難と考えられた。そこで、IG/TCR遺伝子の再構成領域に相補的なカスタムベイトを作成し、キャプチャーシーケンスによる再構成の同定とクローン構造の評価を行った。これまでに、71例のMRD評価済みのBCP-ALLの初発時検体を用いて解析を行った。MRD評価に用いられていた再構成はすべて検出をされ、それ以外にも非常に多くの再構成が同定可能であった。症例や病型により、同定される再構成の数や種類には大きな差異があり、ALLの発症機構やクローン構造の違いを反映しているものと推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
71例のMRD評価済みのBCP-ALLを対象にした解析を行い、キャプチャーシーケンス法により、IG/TCR再構成が網羅的に検出可能であることが確認された。また、従来法ではMRDの定量評価に適した再構成が検出できなかった症例においても、約半数で定量評価が可能な再構成が検出され、検査法としての実用化も期待された。同定される遺伝子再構成の種類やリード数から、クローン構造の評価が可能な場合も多く、病型による再構成の違いなども分かってきており、病型による白血病化機構の違いを反映しているものと推測をされている。再構成に伴う、コピー数の変化により再構成ごとのクローンサイズの正確な評価が可能な場合もあり、希釈検体を用いた定量性も高いことが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シーケンサーにより読まれる各遺伝子再構成のリード数の違いは、再構成を有している細胞の割合を反映していると考えられる。しかし、遺伝子や領域により、読まれるリード数は、キャプチャー効率等により異なるため、より正確にクローンサイズを評価するためには、各領域の効率等を補正をする必要がある。現在、そのための解析方法の検討を進めており、解析系の構築により、より正確なクローンサイズ評価に基づく、ALLにおけるクローン進化を含む発症機構の理解が進むことが期待される。今後、初発時と再発時などの経時的な検体、再構成の検出が難しいとされる乳児ALLなども解析を行い、様々な病態における再構成の網羅的な解析に基づく、クローン評価に基づく病態の解析を進めていく予定である。また、本解析手法は、従来法に比し、多数の症例を同時に解析することに適していると考えられ、検査方法としての有用性についても、今後、検討を進めたい。
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Causes of Carryover |
年度内に購入予定の物品が、年度明けまで納品されないことが明らかとなったため。
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Research Products
(6 results)