2018 Fiscal Year Research-status Report
Wntシグナルと(プロ)レニン受容体の制御による糸球体病態機序解明と治療戦略
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17K10143
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
漆原 真樹 徳島大学, 病院, 講師 (50403689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香美 祥二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (00224337)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アンジオテンシン / (プロ)レニン受容体 / 糸球体腎炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標は糸球体細胞内でのWntシグナルに着目し、レニン・アンジオテンシン系(renin-angiotensin system: RAS )の新しい径路である(プロ)レニン受容体((pro)renin receptor: (P)RR)を介したこれまでにない糸球体障害の病態機序解明や新しい治療法を開発することである。RASの活性化は高血圧だけでなく慢性腎臓病の進展に関与しておりRAS阻害薬は腎障害の進行抑制を目的として臨床の現場で広く用いられている。レニンとその前駆体プロレニンに多雨する受容体である(P)RRは近年、従来のRASにはみられなかった新しい機能が注目されている。またWntは慢性腎臓病の進展において注目されている分子でありこれまでに腎間質線維化の病態機序で多くの報告がされているが、糸球体病変においては不明な点が多い。そのために進行性腎炎モデルにおけるWntシグナルや(P)RRの発現変化や培養糸球体細胞でのWntシグナルと(P)RRによる細胞動態、さらにはヒト糸球体腎炎の病態におけるWntシグンルと(P)RRの役割を明らかに明らかにする。まずラット進行性メサンギウム増殖性腎炎モデルを作成してアンジオテンシンII受容体拮抗薬(angiotensin U receptor blocker: ARB)を投与して腎炎を抑制し、それぞれの群における(P)RRとWntシグナルの発現を評価した。その結果、腎炎ラットでは正常ラットに比して糸球体内の(P)RRとWnt4の発現が増強しており、ARBによって腎炎を抑制したラットではそれらの発現が低下していた。そこでラットから腎臓を摘出し、単離糸球体からメサンギウム細胞を単離培養しWnt4による刺激を与えて腎炎進展に関与するサイトカインの発現を検討してみた。その結果、培養糸球体メサンギウム細胞はWnt4刺激によりマクロファージ遊走因子であるMCP1遺伝子の発現を誘導していることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究目標は培養糸球体細胞を用いて糸球体の病態におけるWntシグナルの役割を検討することである。まずラットから腎臓を摘出し、単離糸球体からメサンギウム細胞を単離培養することに成功した。そして腎炎モデルで発現が増強していたWnt4による刺激で腎炎進展に関与するサイトカインの発現を検討してみたところマクロファージ遊走因子であるMCP1遺伝子の発現を誘導していることが明らかとなった。このように本研究を進めていく基礎データが揃いつつあると考えている、
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Strategy for Future Research Activity |
今後は(P)RR, Wntを介した腎炎進展機序をさらに下流の具体的にはβカテニンなどの経路について詳細に解明していく。動物を用いた実験腎炎モデルや培養糸球体細胞における(P)RR, Wntを介したメカニズム解析をより深めて、これまでにない病態機序を明らかにし新規のより効果的な治療法の開発を模索する。
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Causes of Carryover |
3月に納品となり、支払いが完了していないため。4月に支払いが完了する予定である。
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