2018 Fiscal Year Research-status Report
Roles of Tbx4 for Pulmonary Vascular Development and Pulmonary Hypertension
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17K10153
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
内田 敬子 慶應義塾大学, 保健管理センター(日吉), 講師 (50286522)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺動脈 / 転写因子 / 平滑筋 / 肺動脈性肺高血圧症 |
Outline of Annual Research Achievements |
Tbx4の肺間葉系特異的エンハンサーのコア領域(Tbx4-core lung mesenchymal enhancer, Tbx4-C-LME)の3'側にLacZ遺伝子をつなげた配列を4回タンデムに繋げたコンストラクトをインジェクションして得られたトランスジェニックマウスのF0解析を行った。可能性の一つであった気道平滑筋に特異的にLacZが発現するマウスも複数体認められたが、肺動脈にLacZが発現するマウスは得られなかった。そこで、肺動脈平滑筋マーカーとして、我々が独自に解析を進めていた2型イノシトール三リン酸受容体(IP3R2)の翻訳開始領域にLacZ遺伝子をノックインしたマウス(IP3R2-LacZマウス)を用いることとした。 IP3R2-LacZマウスを胎生9日頃から成獣まで発生段階に合わせて観察すると、肺内では肺動脈に特異的にLacZが発現し、肺動脈の発生に伴って、胎生初期から主幹部から末梢に向かってLacZ陽性の肺動脈が伸長していく様が観察された。さらに切片で観察すると、肺動脈平滑筋に特異的に発現することが明らかになった。 効率よく肺動脈平滑筋細胞を分取するために、IP3R-LacZ陽性細胞をLacZの蛍光基質であるSPiDER-βGalで染色し、FACSで分離することを試みた。現時点ではまだSPiDER-βGalの蛍光強度が高くなく条件検討が必要である。 肺動脈性肺高血圧症(PAH)の患者ではいくつかTBX4の変異が報告されているが、その機能は未だ不明である。そこで転写因子TBX4の下流候補を過去の報告から選び出し、luciferase assayやChiP assayを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Tbx4-C-LMEトランスジェニックマウスを用いたレポーターアッセイの結果、Tbx4-C-LMEのエンハンサー活性は肺動脈特異的ではなかった。そこで新たに、我々が独自に発見し注目してきた肺動脈平滑筋特異的分子マーカーである2型イノシトール三リン酸受容体(IP3R2)に着目し、IP3R2-LacZノックインマウスを用いて解析する方針とした。そのため当初の予定より研究は遅れている。しかしIP3R2-LacZノックインマウスは作製済みであり、以前の研究で胎生期における発現様式も一部解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)IP3R2-LacZマウスの肺を酵素分散した単離細胞をLacZを蛍光染色するSPiDER-βGalで染色しFACSで効率よく肺動脈平滑筋細胞を分離する方法を検討する。 2)Tbx4の肺動脈平滑筋細胞における機能を解析するために、1)で分離した肺動脈平滑筋細胞を培養し、RNAiによってTbx4をノックダウンし、細胞増殖やアポトーシス活性を観察する。 3)Tbx4の肺血管における役割を組織レベルで検討するために、胎生12日~14日の肺の器官培養を行い、Anti-sense oligonucleotidesによるTbx4のノックダウンを試みる。IP3R2-LacZマウスの肺器官培養を行うことで、X-gal染色によって簡便に肺血管を可視化可能であり、発生過程の肺血管を詳細に観察する。 4)Tbx4ノックアウトマウス(ヘテロ)を慢性低酸素刺激し、肺高血圧症の程度を観察する。
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Causes of Carryover |
平成29年度および30年度の研究結果が予想に反していたため、研究目的を遂行するために一部変更して研究を実施したことと、当初海外出張を予定していなかったが、本研究遂行のためさらなる情報収集を目的として海外出張を行ったことから、予算使用を一部変更せざるを得なかった。このような理由から次年度使用額を生じた。しかし、この次年度使用額は高額ではないため、次年度の使用計画は研究開始当初と変わらないと考えられる。この次年度使用額は染色用試薬の購入にあてる予定である。
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Research Products
(4 results)