2019 Fiscal Year Research-status Report
Roles of Tbx4 for Pulmonary Vascular Development and Pulmonary Hypertension
Project/Area Number |
17K10153
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
内田 敬子 慶應義塾大学, 保健管理センター(日吉), 講師 (50286522)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 肺動脈 / 転写因子 / 平滑筋 / 肺動脈性肺高血圧症 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺動脈平滑筋を特異的に標識するために、Tbx4の肺間葉系特異的エンハンサーのコア領域(Tbx4-C-LME)にLacZ遺伝子を連結したトランスジェニックマウスを作製したが、Tbx4-C-LME-LacZの発現は肺動脈には認められなかった。一方、以前より当研究室で開発してきた2型イノシトール三リン酸受容体(IP3R2)の翻訳開始領域にLacZ遺伝子を挿入したマウス(IP3R2-LacZマウス)では、IP3R2-LacZが肺動脈平滑筋に発現するという結果を得た。IP3R2-LacZは、肺動脈の発生に伴い、胎生初期から生後にいたるまで、肺動脈主幹部から末梢肺動脈の肺動脈平滑筋に発現し、whole-mountでも切片でも観察が可能であった。これにより、IP3R2-LacZ陽性の肺動脈平滑筋の発生様式は中枢から末梢に連続的に進展すること、また、血管マーカーや肺上皮マーカーとの共染色によって、肺内においては肺動脈平滑筋に特異的であることが明らかになった。さらに、IP3R2-LacZの大動脈における発現様式から、IP3R2-LacZ陽性領域は二次心臓領域を含むことが示唆された。 Tbx4の肺動脈平滑筋細胞における役割を解析するために、出生直前のマウス胎仔から採取した肺動脈平滑筋細胞の初代培養を用いた。肺動脈平滑筋ではTbx4が有意に発現し、Tbx4の発現量をRNAiで1/10程度に低下させると細胞増殖能が有意に低下した。さらにTbx4の役割を肺組織レベルで検討するために、胎生11日~13日の肺器官培養に対して、モルフォリノアンチセンスオリゴによるTbx4のノックダウンを行った。肺器官培養は再現よく肺気管支分岐の進む様子が観察可能であった。さらにIP3R2-LacZマウスの肺器官培養によって、肺内で経時的に肺動脈平滑筋の分布を可視化した。現在Tbx4のノックダウン法の条件検討中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1)LacZの蛍光基質であるSPiDER-bGalを用いて、IP3R2-LacZ陽性細胞を蛍光標識することを試みたが、感度に限界があり、IP3R2-LacZ陽性細胞をFACSで分離・精製するには至らなかった。 2)胎生11日から13日までの胎仔マウスから取り出した肺を用いた器官培養の実験系は確立できたが、RNAiやモルフォリノアンチセンスオリゴを用いたTbx4のノックダウンについては、未だ、導入時期、導入濃度などを検討中である。マウスTbx4をウエスタンブロットで検出するための抗体が得られ、ノックダウン効果の評価も可能となった。 3)細胞レベルおよび器官レベルにおけるTbx4の役割について解析が進行中であり、個体レベルでの解析が未実施となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)肺器官培養を用いたTbx4のノックダウン解析法の確立:引き続きモルフォリノアンチセンスオリゴによるノックダウン法の検討を継続する。 2)肺間葉系細胞から肺血管細胞への分化を解析するin vitro実験系は未だ存在しない。まずマウスES細胞や未分化平滑筋細胞(C3H/10T1/2細胞)から血管平滑筋細胞への分化系を用いて検討し、次に肺間葉系細胞から肺血管細胞への分化系の確立を目指す。 3)肺間葉系細胞から肺血管細胞への分化系を用いてTbx4の役割を検討する。 4)肺動脈性肺高血圧症の患者で報告のあるTbx4変異の一部は機能低下型と考えられるため、肺動脈性肺高血圧症の発症における肺間葉系細胞のTbx4の役割を明らかにするためにTbx4の肺間葉系細胞特異的ノックアウトまたはノックダウンマウスを用いて検討する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、開催日が2020年3月13日から3月15日から同年7月31日から8月1日に延期となった日本循環器学会学術集会への参加費として使用予定。
|
Research Products
(3 results)
-
[Journal Article] Inositol 1,4,5-trisphosphate receptor 2 as a novel marker of vasculature to delineate processes of cardiopulmonary development.2020
Author(s)
Reina Ishizaki-Asami, Keiko Uchida, Takatoshi Tsuchihashi, Akimichi Shibata, Kazuki Kodo, Katsura Emoto, Katsuhiko Mikoshiba, Takao Takahashi, Hiroyuki Yamagishi.
-
Journal Title
Developmental Biology
Volume: 458
Pages: 237-245
DOI
Peer Reviewed
-
-