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2019 Fiscal Year Research-status Report

ポドサイトのミトコンドリア機能を標的としたネフローゼ症候群の新規治療戦略の構築

Research Project

Project/Area Number 17K10154
Research InstitutionShowa University

Principal Investigator

阿部 祥英  昭和大学, 医学部, 准教授 (10384447)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2021-03-31
Keywordsポドサイト / TGF-beta / ミトコンドリア / ネフローゼ症候群 / アディポネクチン
Outline of Annual Research Achievements

今年度は、ネフローゼ症候群の治療薬として用いられる免疫抑制薬のミゾリビン(MZR)がポドサイトのミトコンドリア機能に変化を与えるかを検証するため、XF96を用いて培養マウスポドサイトの酸素消費速度(OCR)、細胞外酸性化速度(ECAR)を評価した(I)。また、ネフローゼ症候群患児における血清アディポネクチンの推移を検討した(II)。
I. TGF-beta1(TGF)が惹起するポドサイトのミトコンドリア機能変化に対するMZRの効果
培養マウスポドサイトを用い、TGFによって惹起される既知の変化、特に、OCRとECARの上昇をMZRが抑制するかを評価した。その結果、MZR単独ではマウスポドサイトのOCRおよびECARに影響しないこと、MZRはTGFによって上昇するOCRおよびECARを対照と同程度にまで抑制することが明らかになった。つまり、MZRにはTGFで惹起される機能変化を調整する作用があることが示唆され、免疫抑制薬であるMZRの新規の作用が明らかになった可能性がある。
II. ネフローゼ症候群患児における血清アディポネクチンとその分画の推移
ミトコンドリアに作用する物質としてアディポネクチンがあることに着目し、ネフローゼ症候群患児の発症時、蛋白尿消失直後、寛解期における血清アディポネクチン値を測定し、対照群と比較した。対照群に比し、ネフローゼ症候群患児の発症時と蛋白尿消失直後の総アディポネクチン値は約3倍に上昇していた。血清のアディポネクチンが上昇する疾患や病態は少なく、なぜ、このような現象がネフローゼ症候群において生じるのかは明らかになっていない。しかし、アディポネクチンにはミトコンドリア機能を改善する働きがあり、動物実験でもポドサイトの保護作用があることが示されている。よって、ネフローゼ症候群において、アディポネクチンはポドサイトに保護的に作用している可能性がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

ネフローゼ症候群患児における血清アディポネクチンとその分画の推移に関しては、論文として原稿の投稿に至った。しかし、以下については、研究の進行が遅れた。
ネフローゼ症候群患児におけるミトコンドリア機能の尿中バイオマーカーの確立については、ミトコンドリアの膜透過機構を調整するcyclophilin Dと酸化ストレス障害の指標である8OH-dGを定量し、ネフローゼ症候群患児と健常児で比較する予定であったが、検体数が十分に確保できなかった。
ポドサイトにおけるミトコンドリア機能の障害因子の探索・同定については、TGF-beta1と免疫抑制薬であるミゾリビン(MZR)に関する検討が進んだが、再現性の確認が予定通りに進まなかった。特に、ポドサイトの酸素消費速度(OCR)、細胞外酸性化速度(ECAR)を評価するために千葉県こども病院での機器使用を要するが、コロナウイルス感染症の流行に伴い施設への訪問が不可能になり、予定が中断された。

Strategy for Future Research Activity

コロナウイルス感染症の流行が鎮静化するまでは、ポドサイトのミトコンドリア機能解析が進行しない。その代替研究として、ポドサイトの活性酸素産生の抑制試験を新たに計画する。フリーラジカル解析装置を用いて、d-ROMsテストを施行し、TGFによって増加する活性酸素産生亢進を検出できるか、実験の条件を探索する。また、ネフローゼ症候群におけるアディポネクチン上昇の誘因を追求する計画を推進する。

Causes of Carryover

ポドサイトにおけるミトコンドリア機能、特に、酸素消費速度(OCR)、細胞外酸性化速度(ECAR)を評価するために千葉県こども病院での機器使用を要するが、コロナウイルス感染症の流行に伴い当該施設への訪問が不可能になり、予定が中断された。また、ネフローゼ症候群患児におけるミトコンドリア機能の尿中バイオマーカーの確立については、検体数が十分に確保できず、実験に必要なプレートを含む消耗品や試薬を使用できなかったため、2019年度終了時点で残額(2,347,754円)が生じた。
中断された実験を含め、TGFによって生じるポドサイトの酸素消費速度(OCR)、細胞外酸性化速度(ECAR)の変化とMZRによるその抑制効果の再現性を確認しなければならず、それに必要なプレート、試薬を購入する。また、フリーラジカル解析装置を用いて、d-ROMsテストを新たに施行するため、必要な試薬を購入する。さらに、ネフローゼ症候群におけるアディポネクチン上昇に関わる可能性のあるサイトカインの測定を可能にするため、その費用が必要である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2020 2019

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] ネフローゼ症候群2020

    • Author(s)
      阿部祥英
    • Journal Title

      薬局

      Volume: 71 Pages: 576-587

  • [Presentation] ステロイド反応性ネフローゼ症候群における血清アディポサイトカインの推移2019

    • Author(s)
      阿部祥英
    • Organizer
      第54回日本小児腎臓病学会学術集会
  • [Book] 早産児、低体重出生児の成長と発達のみかたー出生からAYA世代までー2019

    • Author(s)
      阿部祥英、板橋家頭夫(監修)
    • Total Pages
      301
    • Publisher
      東京医学社
    • ISBN
      9784885637148

URL: 

Published: 2021-01-27  

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