2022 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of novel therapeutic strategy for nephrotic syndrome targeting mitochondrial function in podocytes
Project/Area Number |
17K10154
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
阿部 祥英 昭和大学, 医学部, 准教授 (10384447)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / podocyte / ネフローゼ症候群 / 慢性腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、ミトコンドリア機能障害や活性酸素を軽減する作用があるCoenzyme Q10 (CoQ10)に焦点をあて、ステロイド感受性ネフローゼ症候群においてCoQ10が蛋白尿を軽減するエビデンスが存在するかどうか、文献検索を行った。しかし、そのような検討がないことが判明したため、蛋白尿を生じる慢性腎臓病に対象を変更し、CoQ10投与が腎機能や蛋白尿を改善させるか、Systematic Reviewを行って明確なエビデンスがあるかを検討する計画を立てた。Systematic Reviewを行うために必要なProtocolの作成に着手し、Protocol論文の投稿準備まで進んだ。 本研究課題を遂行するにあたり、全研究期間を通じて以下の3方面(I~III)、I. 細胞を用いたミトコンドリア機能変化に関する基礎的研究、II. ステロイド感受性ネフローゼ症候群患児における血清アディポネクチンの推移、III. 慢性腎臓病に対するCoQ10の腎保護作用に関するSystematic Review、から取り組んだ。 Iでは、培養マウスポドサイトにおいてミトコンドリア機能を亢進させるTGF-beta1の作用を免疫抑制薬であるミゾリビンが細胞傷害なくその亢進を抑制することが判明した。ネフローゼ症候群に対して実際に使用されるミゾリビンの新規作用を見出した可能性がある。IIでは、ステロイド感受性ネフローゼ症候群において、発症時に血清アディポネクチンが増加し、その分画の比率が変動することが判明した。アディポネクチンにはミトコンドリア機能を改善させる作用があることが知られており、ネフローゼ症候群の病態にミトコンドリア機能変化が関わる可能性があることが示唆された。IIIではミトコンドリア内に存在する補酵素のCoQ10が腎臓に対する保護作用のエビデンスがあるかを明確にしようとしており、検討を継続する。
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