2017 Fiscal Year Research-status Report
抗酸化防御機構の腎局所における活性化による腎障害軽減の検討
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17K10155
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
新村 文男 東海大学, 医学部, 准教授 (30282750)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 抗酸化防御機構 / 腎障害 / シクロスポリン / コンディショナルターゲティング / 近位尿細管 |
Outline of Annual Research Achievements |
近位尿細管特異的にKeap1遺伝子が不活化されたマウスの作製については終了し、実験に供するべく繁殖などの作業を行っている。実際には、[Keap1(flox/WT), KAP-Cre(+)]マウスと、[Keap1(flox/WT), KAP-Cre(-)]マウスを交配して繁殖及び、実験に供するマウスを得ている。すなわち、上記の交配により得られた、[Keap1(flox/flox), KAP-Cre(+)]は、近位尿細管(主に近位直尿細管)においてKeap1遺伝子が不活化され、その結果、同部位においてNrf2が分解されずに豊富に存在することとなる。Nrf2は抗酸化防御機構の中心となる物質であり、種々の抗酸化作用を有する遺伝子発現を促進的に調節している。このマウスの表現型の解析では、腎障害モデルを導入しない状況では、特段の異常な表現型を呈していないことが確認され、長期の生存も可能であった。対照群としては、上記の交配により得られる同胞の中で、[Keap1(WT/WT), KAP-Cre(+)]マウス、あるいは、[Keap1(WT/WT), KAP-Cre(-)]マウスを用いて検討している。長期生存した[Keap1(flox/flox), KAP-Cre(+)]マウス(すなわち、近位尿細管特異的にKeap1遺伝子が不活化されたマウス)において、水腎症や腎実質における嚢胞形成などの出現も期待されたが、現時点ではその確認には至っていない。シクロスポリン投与による腎障害の惹起については、シクロスポリン投与によっても組織学的に顕著な腎障害が、対照群においても認められず、何らかの工夫が必要な状況にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シクロスポリン投与による腎障害惹起において、組織学的に激しい腎障害を呈するまでに至らない点が問題点として浮かび上がっている。減塩食にするなどの工夫についても検討を加える、あるいは、組織学的には目立った障害がなくても、腎障害に関連した遺伝子発現を指標に検討することなどを考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定しているシクロスポリン投与については、組織学的な障害が軽微であっても、腎障害に関連した遺伝子発現に変化がある可能性を考えて、予定通りの実施を考えている。また、シクロスポリン投与以外の腎障害モデルとして、尿管結紮モデルやシスプラチン投与による腎障害モデルの検討が必要と考えている。
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Causes of Carryover |
腎障害を惹起したマウスの腎組織学的な検討が十分に実施されていない点、および、遺伝子発現の検討も十分に行えなかったことから、余剰金が生じたと考えます。次年度においては、組織学的な腎障害の検討に加えて、遺伝子発現を指標とした検討を進めていくこと、ならびに、可能であればシクロスポリン投与以外の腎障害惹起モデルについての検討を開始することを計画します。
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